場中は線を割ったが、終値は上へ戻った時
線を割ったという説明を見ても、どの価格のことかで意味が違います。トレンドラインは高値や安値を結んだ補助線であり、実際の約定や、その後の方向を保証する線ではありません。以下は実在の銘柄を示さない仮例です。
先に引いた線と、後の一日を比べる例
架空の日足で、第1営業日の安値1,230円と、第5営業日の安値1,270円を結んだとします。横軸を同じ幅の営業日とし、価格は通常の等間隔の目盛りです。四営業日の間に40円切り上がる線なので、一営業日当たり10円の傾きになります。
この線を同じ傾きで延ばすと、第9営業日の水準は1,310円です。その日の実際の安値を1,285円、終値を1,320円と置けば、安値は線を下回り、終値は上に残っています。
ヒゲの接触を見る人と、終値で下回ったかを見る人で判定が違う場面です。これは勝った取引の実例ではなく、判定条件をそろえるための算数です。最初にどちらを使ったかを、結果が出てから変更すれば、同じルールの検証ではなくなります。
線の下の価格で、売れるとは限らない
線の水準と、実際に注文を出して約定する価格は別です。材料の発表や注文の偏りで、価格が離れた所から取引が始まる場合もあります。線を下回る条件を決めても、その線と同額で決済できる保証にはなりません。
Fidelityの解説も、線を越えた動きを傾向の変化を疑う材料として扱い、他の情報との照合に触れています。この仮例のように、価格がいったん越えて戻ることまで、線で排除できるわけではありません。
成功した反発だけを集めない
反発した場面だけを選ぶと、線が価格を支えていたように見えます。明確に下へ離れた場面、何度もまたいだ場面、選ぶ点を変えた場面も、同じ条件の対象です。
銘柄や期間、使った四本値が違う例同士を、そのまま同じ勝率の根拠にはできません。出来高や企業情報を含めて考える際も、どの時点で何の情報を持っていたかを区切れば、過去の説明を事前の予測と取り違えにくくなります。
出典
- Fidelity Trading Strategy Desk『Basic concepts of trend』(高値・安値による線、線を越えた動きの限界)
- 日本取引所グループ『株価チャートの表示内容について』(四本値・移動平均線・足種)
出典確認日:2026年10月23日。