効率的市場仮説を投資判断でどう見るか:同じ会社でも、使う情報の範囲が違う、弱形式:公表前までの価格・出来高を使うA、準強形式:公開済みの決算・会社予想を使うB、強形式:未公表の受注情報を知るCも対象にする問い、A・B・Cは架空の比較。取引の優劣を示さない、後から知った情報を、公表前の価格へ使わない

決算を使う方法と、チャートを使う方法を一緒に比べてよいのか

公開決算を調べる方法が利益を得たとしても、それだけで過去の価格を使う方法の説明にはなりません。効率的市場仮説は、利用できる情報が価格へ反映されるという枠組みで、対象の情報の広さによって分類されます。

分類対象とする情報調べる問いの例
弱形式過去の価格・取引の情報過去の値動きから後の収益を予測できるか
準強形式公表された情報全体決算の公表後、価格へどのように反映されるか
強形式非公開を含む情報特定の人だけが知る情報が、既に価格に含まれるか

後ろの分類ほど情報の範囲を広く置きます。強形式は強気相場という意味ではなく、現実に成立していると無条件に認める名称でもありません。

同じ会社で、材料だけを分ける仮例

架空の会社を調べる場面を置きます。Aは公表前までの株価と出来高、Bは既に公開された決算と会社予想、Cは未公表の受注情報を知っているとします。

Aの材料からの予測は弱形式、Bの公表後の反応は準強形式、Cのような情報まで価格に含むかは強形式の問いになります。同じ銘柄でも、材料を変えれば検証する範囲が変わる例です。Cの取引を勧めたり、非公開情報を利用できる制度上の条件を説明したりする例ではありません。

Bが決算前の価格で買ったことにして成績を作ると、情報の公表時点を取り違えます。また、値上がりした一社だけを選べば、同じ材料で下がった会社が抜けます。どの時点で何を知ったかが、分類名より先に必要です。

分類は、そのまま実証結果ではない

Famaの再検討論文は、検証を過去収益の予測、公表への反応、非公開情報の三つとして整理した研究史を説明しています。分類を知ることと、今の対象市場でどの程度成立するかを確かめることは別です。

仮説の検証には、通常どれだけの収益を期待するかを置く価格形成のモデルも必要になります。高い収益が見つかっても、情報反映の遅れなのか、比較方法が捉えていないリスクなのかは一つに決まりません。

手法を比べる時に残る条件

過去の価格を使うことと企業の価値を考えることは、目的が違う場合もあります。自分の保有する会社を理解する作業まで、予測の勝敗と同じ尺度で消す必要はありません。

費用控除後の成績、同程度のリスク、別の期間での再現性をそろえて初めて、方法の比較に近づきます。誰も一度も市場を上回れないという意味へ広げると、仮説が実際に問う範囲を見失います。

出典

出典確認日:2026年10月23日。