市場が付けた価格なら、どんな買い方でも安心なのか
市場価格が情報を含むなら、その価格で一社へ資金を集中しても安心だと考えてしまう場合があります。しかし、効率的市場仮説が扱うのは情報と価格の関係です。価格が下がらないことや、本人の支出に合うことを保証する仮説ではありません。
デメリットは、名称を覚えたことで判断を省いてしまう使い方にあります。市場が常に正解だと決めれば会社の悪化を見落とし、反対に一度の大幅な下落だけから、あらゆる価格形成が無意味だと決めるのも飛躍です。
高い利益と、適切な比較が違う一つの仮例
架空の一年間に、Aの運用収益率が12%、広い市場の比較指数が8%だったとします。数字の差は4ポイントですが、これだけで情報を先回りできた証拠にはなりません。Aが特定の景気敏感業種へ集中していたなら、指数と同じ値動きの負担を取っていないためです。
仮に、その負担を考慮する比較モデルがAに相当する期待収益を11%と見積もれば、差は1ポイントになります。12%も11%も説明用の仮定で、実在する商品の成績や、そのモデルが正しいことを表していません。費用や税も省略しています。
この例で残るのは、どの比較を使えばよいかという問題です。違いが情報反映の遅さなのか、リスクの尺度が足りないのかを、結果の大小だけから決めることはできません。
仮説と、比較モデルを同時に調べている
Famaの1991年論文は、市場効率性の検証には資産の期待収益を考えるモデルも伴うと説明しています。想定と違う収益があった時に、市場側とモデル側のどちらへ帰すかが曖昧になる問題です。
だから何も調べられない、という結論ではありません。対象期間、利用できた情報、費用を示し、別の尺度や期間でも結果を比べる余地があります。一つの成功や失敗だけで、市場全体への結論を急がないための限界です。
人の誤りがあっても、簡単な利益になるとは限らない
投資家の判断の偏りや、価格がゆっくり反応する可能性を考えることと、自分がその差を確実に利益へ変えられることは違います。売買できる量、注文の価格、調査の費用が関わります。後から安かったと分かっても、保有中に耐えられる金額だったとは限りません。
仮説を使うなら、分析を止める理由にも、過剰な売買を始める理由にもせず、何の情報と何の比較条件を置いているかを言葉にします。投資先の分散や使う時期は、その後も本人の条件として残ります。
出典
- Eugene F. Fama(1991)『Efficient Capital Markets: II』(出版社公開本文、情報の分類と期待収益モデルを伴う検証)
- Chicago Booth(2016)『Are Markets Efficient?』(Fama・Thaler本人の対談、モデルと現実の区別)
出典確認日:2026年10月23日。