物価が下がるなら、今の積立を続けられるのか
値下げが増えているのに、勤務先の業績も弱くなり給与が減った。こうした時、物価が下がるから積立に余裕があるとは言えません。デフレ循環は、支出の弱さが企業収益や所得にも波及する関係を見る説明です。
NISAは対象の運用益に関する非課税制度で、収入や支出の差を埋める制度ではありません。口座の利用額を増やすことが、そのまま景気変化への備えにはならない点を分けます。
月々の余力が変わる、一つの仮例
架空の家計で、月の手取り25万円、生活支出22万円なら、残り3万円を積立へ回して収支は均衡します。別に必要な予備費は確保している条件です。
翌月から手取りが23万円となり、支出も少し減って21万8千円になったとします。残りは1万2千円です。積立を3万円のまま続ければ、月1万8千円を既存の預金から補うことになります。同じ状態が十二か月続けば、補う額は21万6千円です。
物価や賃金の実際の予測ではありません。生活費以外の支払いも増減しない仮定です。必要な備えを使い続けて積立額を守ることと、家計に余裕があることを区別するための計算です。
会社ごとの違いと、本人の生活を両方読む
販売価格が下がる企業でも、原料費が下がって利益を守れる場合はあります。反対に、値下げや売れ行きの悪化が固定費や返済の負担を重くする場合もあります。デフレという見通しだけで、投資対象すべての値動きは決まりません。
自分の給与と同じ業種へ資産も集中していると、勤務先と運用資産が同時に弱くなる場面があります。家計の収入源と投資先の重なりも、制度の枠とは別の条件になります。
非課税と、損失を負担できることは別
NISAでも元本割れは起きます。そこで生じた売却損は、課税口座の株式等の利益との損益通算や繰越控除に使えません。支払いのために売る日に、必要額が残るとは限らない仕組みです。
積立額の変更は、デフレを言い当てたかではなく、本人の収支や資金を使う時期から考えられます。景気の見方が変わっても生活の支払いができる状態と、長く運用する資金を切り分けます。
出典
- 日本銀行 岩田副総裁講演(2014年3月24日)第2節(1)(支出と所得、実質債務負担の経路。現在の政策判断ではない)
- 金融庁『NISAを知る』(2026年時点の利益非課税と上限の説明)
- 国税庁『No.1535 NISA制度』(非課税の対象と損失の扱い)
出典確認日:2026年10月23日。