老舗という安心と口座の制度を足し合わせない
退職金の置き場所として「昔から続く会社をNISAで買えば安心」と考える場面があります。長い社歴と非課税は異なる情報で、合わせても元本保証にはなりません。リンディ効果は存続の長さと残る期間の関係を考える概念で、老舗株の損失を防ぐ制度ではありません。
退職金の使い道から点検する仮例
老舗の株へ投資する予定なら、まず退職金から近い生活費や住宅修繕に使う分を分けます。次に、その企業の現在の収益源、財務、主要な顧客を資料で読みます。最後に、既に持っている投資信託や他の株と、同じ市場や事業要因へ偏っていないかを比べます。複数の古い会社を買っても、同じ需要や金利に依存していれば一緒に下がる場合があります。
投資額は社歴から決まるのではなく、下落した時に支出へどんな影響が出るかから考えます。年金開始前の生活費を株価の回復へ頼ると、会社が存続していても必要な時価を確保できるとは限りません。
非課税の範囲と損失の扱い
NISAは対象利益等への国内課税を軽くする仕組みです。個別株を買う場合と投資信託を使う場合では、対象となる枠や商品要件も異なります。保有中の費用や価格変動が消えるわけではありません。
口座内の損失は、課税口座の利益との損益通算や繰越控除に使えません。制度の条件は2026年10月23日に公式資料で確認しました。損失を税で埋められる前提で、安心できる名前の会社へ投資額を増やすことはできません。
長い歴史を今の根拠へ戻す
Ordの研究はリンディ効果の成立条件を検討したもので、日本の老舗株の将来収益を保証する研究ではありません。現在の事業が過去のものから変わっていれば、会社名の年齢と事業の実績を分けます。非課税の魅力より先に、何をいつまで保有し、どの事実で見直すかが説明できるかを確かめます。
出典
- Toby Ord(2023)『The Lindy Effect』(著者投稿原稿の要旨)
- 金融庁「よくある質問:NISA特設ウェブサイト」
- 国税庁「No.1535 NISA制度」
- 金融庁「資産形成の基本」
出典確認日:2026年10月23日。