保有量が少ないのに、利益はその株から出ていた
一部の銘柄が利益の大部分を生むという説明を聞くと、その株を大きく持つべきだと思う場合があります。パレートの法則は、結果が比較的少数の要因へ偏ることがある、という見方です。過去の偏りを説明することと、これから少数へ集中する判断を分ける必要があります。
80対20の法則とは同じ考え方の呼び名として扱います。一方、保有の比率、勝った回数の比率、全体損益への寄与は違う数字です。
一つの資産配分と値動きの仮例
架空の資産100万円のうち、A社株を10万円、その他を90万円持つとします。同じ期間にAが40%上がり、その他の価格は変わらなければ、Aは14万円、合計は104万円になります。
Aの期初の保有比率は10%、A自体の収益率は40%、全体の収益率は4%です。Aの値上がりは全体へ4パーセントポイントを加え、この例の利益はすべてAから出ています。
配当、税、費用、入出金、途中の売買を除いた独自例です。Aを少なく持っていても、利益がそこへ偏る設定にはなります。利益の100%を生んだことから、資産の100%を持っていたとは言えません。
何の数字を比較しているか
| 数字 | 主に答える問い | それだけでは分からないこと |
|---|---|---|
| 保有比率 | 全体のいくらを持つか | 将来の利益の取り分 |
| 個別収益率 | その資産が何%変わったか | 持つ金額を含む全体への影響 |
| 全体への寄与 | その変化が全体へどれだけ加わるか | 次も同じ成果を出すか |
| 勝率 | 決めた範囲で何回勝ったか | 一回の利益・損失額と全体成果 |
結果の分布が偏るという話は、このうち何を数えたかによって読み方が変わります。数値が似ていても、分母の違う割合を並べない方が、比較の意味を保てます。
偏りを測った後にも、投資判断の問いは残る
Juran Instituteが説明する分析は、共通の結果への寄与を測って、大きな項目を探すものです。実際の比率が常に80対20になると断定するものとしては読みません。
投資では、過去の勝ち銘柄を結果から選び直すことは容易でも、当時その未来が分かったとは言えません。値上がりした株の今の保有額や、事業の条件、家計の支払予定は別に読む必要があります。
少数の要因が目立つという観察から、分散が不要とは導けません。一社が悪化した場合の負担と、上昇へ参加する額の両方が変わるためです。偏りの説明、測った数字、次の保有判断を分けるための比較になります。
出典
- Juran Institute『Pareto Principle (80/20 Rule) & Pareto Analysis Guide』(少数要因への偏り、測定と順位付け)
- 金融庁『資産形成の基本』(家計、資金の目的、分散投資の考え方)
出典確認日:2026年10月23日。