バケツの穴を長期投資で考える

同じ収益なら費用の差は残高へ影響する

バケツの穴という比喩を長期投資に使うなら、保有中に繰り返し差し引かれる費用を、流出の一つとして考えられます。ただし、金融商品ごとに費用を差し引く時点や方法は異なるため、比喩そのものに共通の計算式があるわけではありません。

ここでは費用の効果だけを見るため、元本100万円、費用を引く前の収益を毎年3%、追加投資・払戻し・税金なしと仮定します。現実の相場が毎年同じ率で増えるという予測ではありません。

20年間の単純モデルで比べる

年率の費用を単純に差し引き、費用0.2%なら年2.8%、費用1.0%なら年2.0%で年末に複利計算するモデルにします。20年後は、それぞれ100万円×1.028の20乗で約173.7万円、100万円×1.02の20乗で約148.6万円です。差は約25.1万円になります。

これは実際の信託報酬の日々の控除を厳密に再現する計算ではなく、同じ運用収益を仮定した費用差の例です。異なる商品で運用収益まで同じになるとは限りません。期間、投資対象、為替ヘッジ、配当の扱いが違えば、費用差以外も結果へ影響します。

基準価額から同じ費用を二度引かない

投資信託の基準価額には、すでに保有中の信託報酬の控除が反映されています。その騰落率で成果を測った後に同じ信託報酬をもう一度差し引けば、費用を過大に数えます。売買手数料など、別途支払う費用との区別が必要です。

ETFなら、投資先の価値と市場の売買価格がずれる場合もあります。費用が低いという一点だけで、希望する価格ですぐ売買できる性質まで同じとは判断できません。

取り崩しを含む家計へ戻す

長期保有の計画でも、学費や住宅修繕などのために途中で売る可能性はあります。毎年の生活費を投資残高から引き出すなら、この仮例のように20年間全額を複利で運用できません。

支出を減らしても、相場が下がる時期と取り崩す時期が重なる問題は残ります。費用を把握することと、使う予定に合わせて資金を置くことを組み合わせて初めて、家計に近い計算になります。

出典

参考資料の確認日:2026年10月23日。