蓄電池が必要なら、その会社の株は買いやすいか
太陽光が多い昼と日没後の需給の差を埋める手段として、蓄電池が注目される場合があります。ただ、設備が必要なことと、製造や運営を担う企業が十分な利益を得ることは別です。取引の相手と費用まで読まなければ、株式の価値へはつながりません。
ダックカーブは、需要から変動する発電を差し引いた残余需要の形を表す言葉です。昼夜の価格差や投資収益率を直接表す曲線ではありません。
充放電の収支を置く独自の仮例
架空の蓄電設備が、1kWh当たり10円で10kWhを充電し、変換や蓄電の損失を経て8kWhを20円で売れると仮定します。購入した電気の代金は100円、売上は160円、差は60円です。
この60円は設備の最終利益ではありません。設備の取得・減価償却、接続、保守、取引等の費用をまだ引いていません。価格、効率、数量は独自の設定で、現在の市場価格や実際の設備の性能ではありません。
電気を安く買い高く売る差が見えても、設備費を回収できるかは、稼働する回数と期間、費用によって変わります。さらに他の事業者が参入すれば、同じ価格差が続くとも限りません。
会社のどの事業へ届くか
蓄電池を作って売る会社と、設備を保有して運営する会社では、代金を得る時点や負担する費用が異なります。部品会社なら、販売数量が増えても値下げや原料費の影響で利益が伸びない場合があります。
企業の資料では、売上のうち関連事業が占める範囲、受注と売上を計上する時期、投資負担、資金調達を追えます。関連する技術を持つという説明だけで、会社全体の利益を大きく見積もれません。
NISAの対象と、投資に向くかは別の問題
2026年10月23日時点で、成長投資枠は一定の上場株式や投資信託等が対象です。つみたて投資枠には商品性の条件があり、電力や蓄電池に関連するという理由だけで両枠の対象になるわけではありません。
個別の商品名と対象の枠、投資先や費用を読む必要があります。対象になっても、元本や企業の収益性が保証される制度ではありません。
また、他の保有商品にも同じ企業が含まれていれば、銘柄名が違っても集中する場合があります。需給の課題を学ぶこと、事業の利益を見積もること、家計で保有する額を決めることを順に分けると、テーマの期待だけで数量を増やす場面を振り返れます。
出典
- California ISO「What the duck curve tells us about managing a green grid」(2016年)
- 日本証券業協会「NISAのよくある質問」(対象商品:Q4・Q5)
- 金融庁「資産形成の基本」
参考資料の確認日:2026年10月23日。