相続した日に値段が付けば、それが購入額になるか
相続した株がその後値上がりした場合、相続時からの上昇分だけが売却益になると思うと、取得費を誤る場合があります。もとの口座の種類によって扱いが違い、普通の課税口座の株では原則として被相続人の取得費を引き継ぎます。
国税庁のNo.1464は、この原則に加え、NISAなどから相続で払い出す上場株式等の扱いを別に示しています。どの口座で保有していたかが、資料を読む出発点です。
課税口座の100株を相続する独自の仮例
被相続人が課税口座で架空の株を500円で100株買い、相続開始時の株価が1,500円、その後相続人が1,800円で100株を売ったと置きます。購入・売却の費用や取得費加算などの特例は除きます。
原則として引き継ぐ取得費は5万円で、売却額18万円との差は13万円です。相続時の時価15万円からの増加3万円だけで、売却益を計算する設定ではありません。実際の取引や税額を示したものではなく、口座はNISAではないという前提です。
取得費を示す資料が残っていなければ、後の計算を調べる負担も増えます。相続の評価額を記録しておくだけで、購入の記録が不要になるわけではありません。
NISAからの相続は、同じ計算にしない
NISAなどの非課税口座から相続で払い出された上場株式等は、原則として相続開始日の終値相当額で取得したものとみなされます。ただし、相続人のNISAへそのまま受け入れられるわけではなく、特定口座や一般口座への移管の条件が関わります。
金融機関へ死亡に関する届出が必要なことや、死亡後に支払われた配当等の課税の扱いも残ります。非課税だったという一言だけで、その後の収益まで同じに扱えません。
相続税の評価と、売却時の所得計算を分ける
相続税では、相続財産を制度の方法で評価します。売却した株の取得費とは、何を計算するための数字かが違います。同じ書類に金額があっても、別の税の計算へそのまま移せるとは限りません。
一定の条件では、納めた相続税の一部を取得費へ加える特例などもあるため、実際の計算には条件の照合が必要です。
相続した株を持つか売るかを考える前に、口座の種類、もとの取得費、相続時の資料を分けると、何を追加で確かめるべきかが分かります。残高だけで引継ぎの準備が終わるわけではありません。
出典
参考資料の確認日:2026年10月23日。