低いPERの株をNISAで買えば、長く持ちやすいか
割安な株を選んで非課税で保有すればよいと考える際も、何をもって割安としたかが残ります。低い指標の理由が、今後の利益の悪化なら、以前の利益から見た安さは続かない場合があります。
バフェットの1992年の株主書簡は、グレアムが強調した安全余裕へ言及しています。価値と払う価格を比べる考え方は、NISAでの商品選択を読む材料にもなりますが、非課税であること自体が安全余裕を生むわけではありません。
利益の前提が変わる独自の例
架空の国内株が1,000円、対象年度の予想一株利益が100円なら、予想PERは10倍です。株価が同じで、利益予想が50円へ修正されれば20倍になります。100株を買う代金は10万円ですが、見込んでいた利益に対する価格の関係は変わっています。
これは独自の設定で、実際の銘柄や適正なPERの基準ではありません。対象年度、利益の種類、一時的な損益をそろえずに、過去の低い数字だけで現在の安さを説明できません。
事業の価値を見積もる際の不確実さ
利益が安定して見えても、競争や必要な設備投資、借入れの返済などは将来の現金へ関わります。会社が持つ資産も、帳簿の金額でそのまま現金に戻せるとは限りません。見積もりの前提を一つずつ追う必要があります。
また、株数が増えれば、会社全体の利益の成長と一株を保有する側の成果は違う場合があります。株価の安さだけでなく、株主へ何が残るかまで読む論点になります。
グレアムの名前を理由に特定の数値を絶対の買い基準にすると、どの資料と条件から判断したかが見えなくなります。古い著作の時代と現在の商品・制度の違いもあります。
NISAへ移す前に必要な判断
2026年10月23日時点で、個別の上場株式への投資は成長投資枠の対象となり得ますが、監理・整理銘柄等の除外条件があります。つみたて投資枠で個別株を買えるわけではありません。対象かどうかは個別の商品と枠で読む必要があります。
対象の利益が非課税でも損失は起こり、NISAの損失を課税口座の利益と損益通算等に使うことはできません。投資先を評価する作業が、制度によって不要にはなりません。
価値の見積もりが難しい場合には、買わずに調べるという選択もあります。枠を使うことを先の目標にせず、保有理由と家計から出せる額を読み直すと、割安という印象を具体的な前提へ戻せます。
出典
参考資料の確認日:2026年10月23日。