安全余裕があれば、元本は安全か
自分の見積もる価値より安く株を買うと、余裕を持って入れたと感じます。しかし、その価値は将来の利益や資産に関する推定です。前提が間違ったり、その後に事業が変わったりすれば、安く買ったつもりでも損失になります。
安全余裕、マージン・オブ・セーフティは、価値と購入価格の間へ余地を置く考え方です。バフェットの1992年の書簡でも、グレアムが強調した原則として言及されています。預金の保証や、価格の下限を決める制度ではありません。
見積もりを変える独自の例
架空の会社の一株価値を1,000円と見積もり、株価800円で100株を買うとします。推定価値に対する価格の差は20%、代金は8万円です。ところが、利益見通しの悪化を反映して一株価値の見積もりを700円へ下げれば、購入価格は新しい推定を上回ります。
税、費用、配当を除く独自の設定で、実際の適正株価や買うべき割引率を示していません。推定値を置けても、その価格で必ず売れるわけではありません。20%の余裕が20%までの値下がりを防ぐという意味でもありません。
見積もりの幅と、分からない部分
将来の販売や利益率、必要な投資、借入れなどによって評価は変わります。良い条件だけを置いて価値を高くすれば、見かけの安全余裕も大きくなります。どの資料を使い、何を仮定したかが必要です。
複数の条件で試算すれば、どの前提の変化が大きく効くかを追えます。それでも、試算した範囲が最悪の限界とは限りません。数字を精細に書くことと、推定の確かさは別です。
NISAの非課税と、事業の損失を分ける
2026年10月23日時点のNISAは、対象商品の利益等を非課税にする制度です。購入価格が妥当か、会社が成長するかを認定する仕組みではありません。対象であっても元本割れは起こります。
NISAの損失は課税口座の利益との損益通算等に使えないため、非課税の利点だけで損失の扱いまで有利と考えることはできません。対象となる枠、商品、保有できる資金も別に読む必要があります。
長く持てる額にも余地が必要
株価と価値に差があると考えても、近く使う資金なら、その差が縮まるまで待てない場合があります。家計の期限と、評価の不確実さを同じ計画へ重ねられます。
安全余裕は、安いという結論へ名前を付けることではなく、自分の推定がずれる可能性まで考える入口です。値段、評価の前提、投じる額を分けると、NISAの枠や一つの割合だけで保有を決める飛躍を追えます。
出典
参考資料の確認日:2026年10月23日。