半値から買う場合の損失を計算する
半値八掛け二割引は、高値へ0.5、0.8、0.8を掛け、高値の32%を下値の目安として語る格言です。何年保有すれば利益が出るかという期間や、企業が回復する条件は計算に含まれていません。
高値が2,000円の架空銘柄を、半値の1,000円で100株買ったとします。そこから格言の32%の水準である640円まで下がると、取得額10万円に対し評価額は6万4,000円で、損失は3万6,000円です。高値を避けたことは、損失を避けたことにはなりません。
買い増しは平均単価と損失額を同時に変える
途中の800円でさらに100株買った場合、取得総額は18万円、保有株数は200株、平均取得単価は900円です。640円になれば評価額は12万8,000円で、損失は5万2,000円になります。
平均単価は1,000円から900円へ下がっていますが、買い増さなかった場合の損失3万6,000円より、損失額は増えています。追加資金を入れた分だけ投資先への依存も増えるため、平均単価の低下だけを改善と呼ぶことはできません。
長く待てるかと、事業が回復するか
保有期間を長く取れる家計でも、会社の競争力や資金繰りが回復するとは限りません。売上が戻る前に設備投資や返済が必要なら、増資などで一株当たりの条件が変わる可能性もあります。
一方、家計で近く使う資金を投じていれば、事業の回復を見込めても売却が必要になる場合があります。投資先の見通しと、自分の資金が待てる期間は別々の条件です。
比較の基準は過去の高値だけにしない
過去の高値に対して安いという説明には、その高値が現在も妥当な比較先だという前提が隠れます。企業の利益や株式数が変われば、同じ一株の価格をそのまま並べるだけでは割安さは分かりません。
格言の32%へ届く前後を売買の合図にするより、さらに下がる場合の損失額、買い増し後の集中、必要な現金を別に試算できます。長期という言葉を回復の保証にせず、保有を続ける理由が残っているかを検討する材料になります。
出典
参考資料の確認日:2026年10月23日。