不人気という状態と回復の根拠
「人の行く裏に道あり花の山」は、人気の外側にも機会があるという相場格言です。NISAで買えることは、その企業の不振が一時的である証拠にはなりません。利益が下がった原因、財務の余力、現在の価格へ反映された期待を調べる問いは、課税口座と同じく残ります。
非課税保有期間に期限がないことも、企業が生き残ることや株価が戻ることを保証しません。家計で必要となる時期まで、必ず回復を待てるとも限りません。
売却損と戻る現金を分ける
NISAで60万円で買った株式を36万円で売却する仮例なら、損失は24万円です。この損失は、課税口座の上場株式等の利益と損益通算したり、翌年以降へ繰り越して控除したりすることができません。
売却によって翌年以降再利用する非課税保有限度額の基準は取得額60万円ですが、現金として回収するのは36万円です。枠が戻ることを、損失が埋まることと解釈すると、次の買付資金を過大に見積もります。売却後に同じ年の年間枠が復活するわけでもありません。
買い増しで回復の必要額を減らす案
値下がり後に買い増すと、平均取得単価を下げられる場合があります。一方、その企業へ投じる金額も増え、さらに下がった場合の損失額が増えることがあります。平均単価の低下は、回復仮説の正しさを示しません。
2026年の成人向けNISAでは、成長投資枠は年間240万円、非課税保有限度額は総額1,800万円の内数で1,200万円までです。企業の見通しが変わらなくても、追加資金と利用できる枠には上限があります。上限まで買うという目標から、回復の確率は導けません。
保有理由が変わったかを資料で追う
「不人気だからいつか上がる」という説明では、いつ判断を見直すかが決まりません。会社が示す販売計画、費用、返済予定などから、自分が重視した回復要因が残っているかを追うと、仮説を具体化できます。
格言、税制、企業の価値は異なる種類の判断材料です。NISAという保有手段を先に決めても、企業の悪化や価格条件を検討する作業は省けません。
出典
- 三菱UFJ eスマート証券「人の行く裏に道あり花の山」
- Howard Marks / Oaktree「I Beg to Differ」(2022年)
- 金融庁「NISAを知る」
- 国税庁「No.1535 NISA制度」
参考資料の確認日:2026年10月23日。