FIREと働き続ける計画を比較

同じ生活費なら、必要な資産も同じか

FIREの計画を比べるとき、完全に仕事を辞める人と、短い時間で働く人の目標額をそのまま比べても意味は限られます。生活のどの範囲を資産から出すかが異なるからです。働き方の名前より、同じ期間の手取りと支出へそろえる必要があります。

FIREは経済的な自立と早期の退職をめぐる考え方ですが、一つの法制度や、統一した必要資産額があるわけではありません。

年の不足額を比較する独自の仮例

年間の支出を240万円とし、公的年金などをまだ受け取らない期間を考えます。他の収入がない計画Aでは、資産などから240万円を出す必要があります。税や保険などの条件を支出側へ含めたうえで、使える就労収入が年120万円ある計画Bなら、不足は年120万円です。

仮に初年の取り崩し率4%で割る単純計算だけを行えば、Aは6,000万円、Bは3,000万円となります。実際の必要額や安全な水準ではなく、収入を置くことで計算が変わる独自例です。Bで将来も同じ手取りを得られるとは限りません。

税や保険の負担が働き方で変わるなら、最初の支出240万円という仮定も置き直す必要があります。生活費だけ同じにして、他の負担を省く比較はできません。

働かない自由と、働く前提の違い

一部の収入を残す計画は、運用へ頼る金額を小さくする場合があります。一方で、その仕事を続けられる時間、健康、需要などの条件も加わります。予定した収入がなくなった場合に、どの支出をどう賄うかが残ります。

反対に、仕事を辞めれば支出がすべて下がるとも限りません。通勤がなくなる一方、余暇に使うお金や、新たに自分で負担する費用が変わる場合があります。

年齢によって、収入の時期も変わる

年金を受け取り始める前と後では、資産から出す金額が違います。ねんきんネットでは、働き方や受取開始などの条件を設定して見込額を試算できます。生涯を一つの不足額で扱うより、時期を分けて読む必要があります。

Bengenの研究から知られる取り崩しの議論も、過去のデータと特定の前提に基づきます。倍率だけを使って、現在の日本の家計の安全を確定することはできません。

働き方を比べるなら、手取り、支出、収入がなくなる場合をそろえます。資産額の大小だけでは、どの自由と負担を引き受ける計画なのかは分かりません。

出典

参考資料の確認日:2026年10月23日。