費用はその年の支払いだけで終わらない
同じ値動きの資産へ投資する二つの商品でも、毎年の費用が違えば残る金額は変わります。減った分を翌年へ運用に回せないため、長い期間では差が重なります。ボーグルが広めた低コストの指数投資は、この費用を投資家が意識できる要素として扱う考え方です。
将来の市場リターンは決められませんが、購入前に分かる信託報酬などは比較できます。ただし、表示される費用だけで総負担のすべてを把握できるとは限りません。
30年の費用差を置いた独自の仮計算
元本100万円を追加投資なしで30年間保有し、費用を引く前の年率を毎年4%に固定します。簡略化のため年費用率をそのまま年率から差し引き、年費用0.1%の商品では年3.9%、1.0%の商品では年3.0%で複利計算します。
計算式は「100万円×(1+費用後の年率)の30乗」です。結果はそれぞれ約315.1万円、約242.7万円となります。これは独自の設定で、特定ファンドの実績や見通しではありません。実際の信託報酬は日々の純資産等に応じて控除されるため、この年末計算と完全には一致しません。税や売買費用も含めていません。
図が示すのは、費用前の運用が同じ場合の差です。異なる指数や資産の商品を、費用率だけで同じ運用結果と置くことはできません。
期間を延ばしても、一定の年率にはならない
現実には毎年の値動きが異なり、使いたい直前に大きく下がることもあります。長く持てば必ず仮計算へ近づくわけではありません。途中で必要資金を取り崩すなら、単に最後の残高を比べる例とも条件が変わります。
長期の計画では、投資に回す前の現金、保有中の資産配分、取り崩しが近づいたときの変動を合わせて考える必要があります。費用を下げる工夫は、その代わりにはなりません。
安い商品へ頻繁に乗り換える費用もある
表示された費用が少し安くなったたびに売買すると、売却や再購入の条件、ETFの売買価格差、課税口座なら税金などが関わる場合があります。新しい商品の費用だけでなく、乗換えに伴う負担と、持つ資産が変わらないかを読む段階が必要です。
低コストを重視する考え方を長期へ生かすなら、費用率の小さな差を追い続けるだけでなく、理解できる資産を、資金計画に合う形で持ち続けられるかまで含めることになります。
出典
参考資料の確認日:2026年10月23日。