一度の往復の成功は、次の下限を守らない

一度うまく売買できると、次も戻ると思う時

価格帯の下で買い、上で売れた後には、同じ方法を繰り返せそうに見える場合があります。ボックス相場は過去の一定期間の価格を整理する表現で、次の往復を約束するものではありません。以下は実在の銘柄や売買成績を使わない仮例です。

同じ株の売買を続ける、一つの仮例

架空の株について、過去の価格帯を1,120〜1,280円と考えたとします。最初は一株1,140円で100株を買い、一株1,260円ですべて売れました。この一往復の価格差による利益は1万2千円です。

次に、再び一株1,140円で100株買ったところ、今度は下限を割り、一株970円ですべて売ったとします。二回目の損失は1万7千円となり、二往復の合計は5千円の損失です。税、手数料等を省き、記した価格で約定できたと置いた算数です。

過去の範囲から、二回目も上限へ戻ると決めることはできません。実際には、最初の往復の注文も希望した水準で成立するとは限らず、この例より早く条件が崩れる場合もあります。

破れた範囲を、後から消さない

下がるたびに下限を引き直せば、どこまでも箱の中だった図を作れます。しかし、最初に置いた範囲を使う判断とは別です。引き直した時点と理由がなければ、失敗した予想が記録から消えます。

場中の価格が一瞬はみ出した場合と、終値でも外へ出た場合も分けて読めます。条件を先に決めても、それが将来の下落を止めるわけではありません。

値幅と、損失を負担する金額

Fidelityのレンジ取引の説明は、範囲がいつどれだけ続くかを見極める難しさを示しています。下限付近の買付けを増やせば、反発した時の利益だけでなく、下へ離れた時の損失額も増えます。

会社の新しい開示や市場全体の動きも、以前の価格帯が続くかを考える材料です。ただし、価格が変わった理由を、箱の形だけから特定することはできません。

成功した往復だけを切り取らず、同じ条件で続けた後の結果まで残せば、値幅の見やすさと取引の難しさを分けて振り返れます。

出典

出典確認日:2026年10月23日。