二つのファンドを買ったので、分散できたと思った
別の名前の商品を持っても、中に同じ株式が多く含まれている場合があります。「卵は一つの籠に盛るな」は、特定の投資先に集中した損失を分けるという、分散投資の考え方を表す格言です。籠に当たるものを、商品名だけで数えないところから使えます。
分散は損失をなくす仕組みではありません。異なる値動きやリスクを組み合わせ、特定の問題が全体へ及ぼす影響を抑えることを考えます。
一つの家計の保有内容を読む、一続きの順序
架空の家計が、全世界株式型と米国株式型のファンドを持っている場面を置きます。最初に、商品の名前と購入した金融機関を並べ、その次に実際の組入資産を読みます。別の窓口で買っていても、同じ企業を重ねて保有する可能性があります。
続いて、それぞれの報告書で基準日と地域、業種、主要な組入銘柄を読みます。全世界という名前でも、地域や企業への配分が均等とは限りません。同じ日に近い資料で、各ファンドの金額と組入比率を合わせて見れば、家計全体の偏りを調べられます。
次に、株式以外を含めた金融資産へ視野を広げます。現金や債券などは、株式と同じリスクではありません。ただし、債券にも金利や信用、現金にも物価上昇による購買力の変化があります。別の種類なら必ず反対へ動くとは置けません。
さらに、円で買えることと、為替の影響を受けないことを分けます。投資先の通貨、円換算、為替ヘッジの有無や費用は、表示する通貨だけでは判断できません。
最後に、近く支払うお金と長く運用できるお金を分けます。同じ家計の資産でも、支払いが迫る部分まで値動きの大きい商品へ回せば、下落時の売却を迫られる可能性があります。
時期を分けることも、別の問い
積立は購入時期を分ける方法ですが、積み上がった保有資産の価格は、その後も変動します。購入回数が増えただけで、特定企業や地域への依存が減るわけではありません。資産の配分と購入時期を混ぜない部分です。
金融庁の資産形成の説明も、家計の目的と、長期・積立・分散を分けています。一つの方法ですべての不安に対応できるという意味ではありません。
商品が増えて資料を追えなくなるなら、何を重複して持っているかも分からなくなります。籠を増やす前に、中身と使う時期を説明できるかを読むと、格言を自分の資産の構造へ置き換えられます。
出典
- 金融庁『資産形成の基本』(家計、資金の目的、分散投資の考え方)
- 米国SEC Investor.gov『Asset Allocation and Diversification』(資産配分、保有の重なり、リバランスの説明)
- 日本取引所グループ『投資のリスク(ETF)』(為替、基準価額と市場価格の違い)
出典確認日:2026年10月23日。