会社の価値を計算したが、株価と比べてよいか
資料で大きな企業価値を見つけ、その数字を時価総額と比べれば割安と感じる場合があります。しかし、負債を含む事業の価値と、株主に帰属する価値は同じではありません。マージン・オブ・セーフティは、見積もった価値より価格へ余裕を持たせる考え方です。まず比較する範囲をそろえる必要があります。
推計が詳しくても、価格と価値の単位や範囲が違えば、差の割合には意味を持たせられません。
事業から、一株の価値へ直す独自の仮例
架空の事業全体の価値を300億円と見積もり、負債から現預金を差し引いた純負債を80億円とします。他の事業外資産、負債、非支配持分等の調整はない設定なら、株主に帰属する推計価値は220億円です。
自己株式を除く株式数を2,000万株と置けば、一株当たりは1,100円です。株価880円と比べた差は220円で、推計価値から20%低い価格になります。希薄化、税、取引費用などは除く独自の模型で、実在会社の評価ではありません。
純負債を引くのは、初めに事業全体の価値を置いたためです。最初から株主に帰属する価値を求めた計算へ、同じ負債をもう一度引くものではありません。どの現金収支と割引率で何を評価したかを読む条件が残ります。
価値を計算した前提を、数字と一緒に残す
販売数量、売値、費用、設備に必要な資金、競争などが変われば、事業価値の見積もりも変わります。現在の利益が長く続くか、借入の返済や追加投資をどう扱ったかも、単なる引き算の前に読む部分です。
株数も、発行済み総数と自己株式控除後などの範囲を合わせます。将来に株数が増える条件があれば、一株へ帰属する価値は今の株数だけでは捉え切れない場合があります。
余裕の割合を、損失の上限にしない
仮例の20%は計算の設定で、一般に十分な幅を示す基準ではありません。推計価値が大きく違っていれば、割引を設けたつもりでも価格が高い可能性があります。市場でいつ推計価値が認められるかも分かりません。
Berkshireの1992年の書簡は、将来の現金収支の推計が誤り得ることと、価格に余裕を求める考え方を述べています。計算式を置けば、不確かな事業も正確に評価できるという意味ではありません。
最初は、事業、株主、一株の順に、何を評価したかをそろえられます。その後に、根拠が変わった場合の評価と、本人が引き受ける保有額を読む問いが続きます。
出典
出典確認日:2026年10月23日。