多くの人が買った理由まで分かるわけではない
周囲が買っているから買いたくなる、売りが増えると不安で手放したくなる、といった影響を群集心理と呼ぶことがあります。金融市場の群集行動を扱う研究では、他人の行動を見て自分の選択を変える場合と、各人が同じ情報へ反応した場合を分けて考えます。
BikhchandaniとSharmaのレビューは、その区別や、データから行動を識別する難しさを整理しています。同じ方向の取引が多いだけで、原因を他人への追随と断定できない点が手がかりです。
同じ上昇でも二つの説明がある仮例
仮想のA社が利益予想を引き上げ、その資料を読んだ投資家がそれぞれ買いを増やしたとします。別の場面では、元資料を読まず「大勢が買っているらしい」と聞いた人が買いへ変わったとします。どちらでも株価や出来高が動く可能性がありますが、判断の過程は異なります。
SNSの投稿が増えた時も、独立した分析が増えたのか、一つの主張が繰り返されたのかを確かめます。人数や投稿数を、そのまま情報の正確さへ置き換えることはできません。
群集に逆らえばよい、でもない
多数派の意見が正しい場面も、間違う場面もあります。他人の行動を情報として調べることはできますが、根拠なく反対の注文を出しても分析にはなりません。
仮に10件の強気投稿と2件の弱気投稿があっても、上昇確率が10÷12で約83%になるわけではありません。対象が偏り、元資料も重複し、結果の確率を測る方法になっていないからです。
自分の記録には、企業の資料から確認した事実、周囲の意見、最終判断を分けて残します。他人の反応を知らなくても同じ理由を説明できるかが、判断の独立性を点検する一つの問いになります。