NISAで卵は一つの籠に盛るなを読む

分ける対象は口座の名前だけではない

卵は一つの籠に盛るなは、一つの対象へ資金を集中させず、リスクを分けることを促す格言です。投資先の異なる値動きを組み合わせる視点につながりますが、金融機関や口座を分けたことだけで投資先のリスクが変わるとは限りません。

NISAは一定の利益を非課税にする口座制度です。課税口座と分けて記録する必要はあっても、同じ会社の株式に投じた部分が、口座をまたぐと別の会社になるわけではありません。

二本の投資信託に含まれる同じ企業

架空の現在評価額で、NISA口座の投資信託Aを60万円、課税口座の投資信託Bを40万円保有するとします。Aが企業Xを10%、BがXを20%含むと仮定します。実際の商品の保有データではありません。

Aの中のX相当額は6万円、Bでは8万円なので、合計14万円です。全体100万円に対してXは14%になります。投資信託を二本持っていることだけから、一企業への比率が小さいとは判断できません。

この例では、その時点の評価額へ同じ時点の組入比率を掛けています。実際に調べる場合も、月報などの基準日が異なれば、同じ時点の厳密な合計にはなりません。組入先が入れ替わる商品では、過去の比率を現在へ固定しない点も必要です。

地域や業種も透かして読む

企業の重複がなくても、同じ業種、同じ需要、通貨の影響を強く受ける組み合わせなら、同時に下がる可能性があります。分散は一つの企業の固有の影響を薄めることにはつながりますが、あらゆる市場下落を消すものではありません。

NISAで何本持つかを先に決めるより、家計全体の保有対象を並べると、課税口座や別の商品に含まれる偏りも見えます。商品ごとの費用や投資目的も、重複と合わせて検討できます。

損失と枠の都合で分散を判断しない

NISAの売却損は、課税口座の上場株式等の利益と通算できず、繰越控除もできません。非課税枠があることを理由に、一つの人気商品へ集めても、値下がりへの負担が軽くなるわけではありません。

反対に、本数を増やすだけでは管理の手間と重複が増える場合があります。何をどれだけ保有しているかを合計してから、その配分が自分の目的と資金の期限に合うかを考えるのが、この格言をNISAへ移す際の具体的な問いです。

出典

参考資料の確認日:2026年10月23日。