急落の不利益を、株価の数字だけで見ない
ここでいうブラックマンデーは、1987年10月19日の世界的な株価急落です。米国のダウ工業株平均は、この日に22.6%下がりました。過去の下落率を、そのまま現在の保有株の損失予測へ当てはめることはできません。
この出来事で問題になったのは、価格だけではありません。FRB掲載の歴史研究は、注文処理や情報の遅れ、追加の資金を求められる時期、市場間の取引や資金受渡しの仕組みが混乱を強めたと説明しています。
借入があると、自己資金の減り方は大きくなる
独自の仮例で、保有株の時価が100万円、対応する借入が60万円なら、差し引きの自己資金は40万円です。株価が20%下がって時価80万円になり、借入額は60万円のままなら、差し引きは20万円になります。
株価の下落は20%でも、自己資金は40万円から20万円へ半減しています。利息、手数料、税金や追加の入出金を除いた単純な残高の比較です。1987年の実際の投資家や、特定の信用取引口座の条件を再現したものではありません。
実際には、保有を続けるための追加資金や、契約に基づく処分が関わる場合があります。価格がいつか戻るとしても、その前に資金が必要になれば、同じ保有を維持できるとは限りません。
売りたい価格と、売れる価格が離れることもある
当時は大量の注文に処理が追い付かず、約定したかという情報さえ遅れたと記録されています。売却を予定していることと、必要な時に想定価格で現金へ換えられることは同じではありません。これが、価格の危険とは別に、流動性を読む理由になります。
現代の市場を当時と同じ仕組みとして扱うこともできません。制度や処理能力は変わっていますが、その事実だけで急変時の価格や注文成立が保証されるわけでもありません。過去の受渡日数や売買停止の条件を、現在の取引ルールとして使わない区別も必要です。
回復を知ることと、回復まで待てることは別
歴史資料には、その後の市場の回復や、中央銀行による流動性の支援も記録されています。ただし、支援は個々の株価や投資家の借入を必ず救う約束ではありません。保有を売った人が、後の回復をそのまま受け取れたわけでもありません。
急落の記録から考えるなら、借入を含む残高、近く払う金額、換金する必要のある時期を並べます。反発を無視して全部売ることにも、反発だけを信じて持ち続けることにも、個別の条件を読む作業が残ります。