たとえ話で、家計や人物を善悪に分けない
ここでいう蟻とキリギリス投資法は、将来への準備を蓄えのたとえで考える説明です。一定の配分や利回りを定めた正式な投資手法ではありません。収入や家族の事情によって貯められる額は異なり、投資をしない人を怠け者、消費する人を不合理と決める表現にはしません。
準備という言葉には、値動きのある資産を買うことだけでなく、近い支払い用の現金を残すことも含まれます。長く積み立てる計画があっても、今月の家計が赤字になるなら、まず収支と積立額を見直す必要があります。
月5万円を積み立てても、修理費を払えない例
月の手取り収入30万円、生活に欠かせない支出22万円、楽しみなどの支出3万円なら、残りは5万円です。これを全て投資して現金の予備費を残さず、四か月後に20万円の修理費が必要になったと仮定します。投じた合計20万円を、そのまま使えるとは限りません。
支払時点の投資評価額が15万円なら、売却しても5万円不足します。これは説明用の値下がり例で、四か月の投資成績を予測していません。同じ5万円を先に現金として貯めれば四か月で20万円を確保できますが、投資による利益機会は別に考える必要があります。
我慢だけで積立額を最大にしない
楽しみや学び、健康のための支出を全て削れば、続ける負担が増える場合があります。毎月の生活と将来の目標を両方書き、必要な支出、調整できる支出、臨時の支出を分けます。収入が変わったときには、以前の積立額を守ること自体を目的にしません。
高い積立額を維持するためにカード払いを増やしたり、家族の支払いを先送りしたりすれば、投資以外の負担が膨らみます。投資の期待利益と借入の費用を都合よく相殺せず、現金収支を黒字で維持できる額から計画します。
蓄えは、使う時期ごとに置き場所を分ける
近い修理費や学費には、必要な時期に換金できるかが先です。長く使わない資金には、物価上昇や運用の値動きも含めて方法を考えます。全て現金、全て投資のどちらか一方へまとめる必要はありません。
一定の時点で残高と支出予定を更新し、予備費を使った後はどう補充するかも決めます。将来の準備をしながら今の生活も維持できるかを見直すためのたとえであり、厳しい節約や高い投資額を競う手法ではありません。計画を続けられるかを家計の数字で確かめます。