落ちるナイフは掴むなを知るメリット|投資判断で役立つ場面

買いたくなる理由を、価格以外に広げる

急落株の画面で下落率が大きく表示されると、安く買える機会のように見えます。「落ちるナイフは掴むな」は、その値ごろ感だけで注文を出す前に、検討を続けるきっかけになります。下がった株式を一律に禁止する言葉ではありません。

利点は、株価の動きだけに目が向いていた状態から、企業が何を稼ぎ、何が悪化したかへ視線を戻せる点です。反発確認や出来高の観察も補助にはなりますが、企業の利益や債務を読まないまま安全を判定できるわけではありません。

同じ期の利益予想と価格を比べる独自例

架空企業で、株価1,500円のとき、ある決算期の会社予想の一株当たり純利益が60円だったとします。株価収益率のPERは、株価を一株当たり純利益で割る指標なので、この時点では25倍です。

その後、同じ期の予想利益が20円に修正され、株価は900円に下落したとします。新しい予想に基づくPERは45倍です。株価は40%下がっていますが、利益に対して払う価格の倍率は上がっています。発行株式数に変化がなく、株式分割などもない独自の仮例で、実在銘柄の予想や評価ではありません。

指標が一つ出ても、調査は終わらない

例で必要なのは「下落したので割安」という結論を急がず、何の利益を分母にしているかをそろえる作業です。前年の実績利益と修正後の予想利益を区別しない比較では、数値の意味がずれます。予想利益が実現するかもまだ不確実です。

PERが高くなったから必ず下がるという意味ではありません。一時費用で利益が低い場合や、事業そのものが縮小している場合では、今後の見通しが異なります。利益が赤字なら、この単純な倍率で割安・割高を同じように判断することも難しくなります。

待つことの代償と、得られる材料

調査を待つ間に反発してしまい、買いたかった価格を逃すことはあります。格言を知るメリットは、最安値で買えることや、その後の損失がなくなることではありません。業績の修正理由、現金と返済、今後公表される資料を調べてから、引き受ける条件を選べることです。

何も調べず「もう少し待つ」を繰り返すだけなら、判断は進みません。例の企業なら、予想利益が下がった理由が継続するかが次の問いになります。値動きの観察と事業の資料をつなぐことで、買うか見送るかの根拠を、下落率の大きさより具体的にできます。

出典