小さな押し目はあっても、欲しい価格とは限らない
「押し目待ちに押し目なし」は、強い相場で希望する買値まで下がらず、買えないままになることがある、という格言です。株価が毎日一方向へ動く、という意味だけではありません。
ここでは実在銘柄の過去の取引ではなく、独自に置いた価格を使います。値上がり後の図から、途中の買い時を必ず選べたと考えないための比較です。
950円を待つ人と、架空の六日間の価格
本人は950円を買う条件にしていたとします。架空の6営業日の終値と日中の安値は、次の設定です。
| 日 | 終値 | 日中安値 |
|---|---|---|
| D1 | 1,000円 | 980円 |
| D2 | 1,060円 | 1,020円 |
| D3 | 1,040円 | 1,010円 |
| D4 | 1,120円 | 1,080円 |
| D5 | 1,100円 | 1,070円 |
| D6 | 1,180円 | 1,140円 |
D2からD3、D4からD5では終値が下がっています。それでも、どの日も安値が950円を上回る設定なので、待っていた価格には届いていません。終値だけで日中も届かなかったと推測しないよう、安値も合わせて置いています。
最後の値段を知る前に、何が判断材料だったか
この六日間では、最初に買えば後の値上がりを受けられたように見えます。しかし、D1の時点では、その先の六日間の価格は分かりませんでした。同じように上がり始めた後、下落へ転じる別の経路もあり得ます。
また、D6より先に950円へ下がる可能性は、この表で否定していません。どの期間までを見た結果かを決めずに「待てば必ず買えない」「上がった後も絶対に戻らない」と広げると、仮例の説明できる範囲を超えます。
条件を変更するなら、価格以外の理由も残す
950円という条件を維持するなら、その評価の前提が続いているかを読みます。変更するなら、決算や受注など新しい材料で評価が変わったのか、取り残されたくないだけなのかを分けることになります。
分けて買う方法を選ぶ場合にも、一度に使う額だけでなく、合計の予算と売買単位が必要です。時間を分けたこと自体は、最終的な利益や損失の限定を保証しません。
格言の実用は、買えなかった期間の後悔を強めることより、事前に置いた条件と実際の価格の差を、同じ基準で振り返る点にあります。