強気相場は懐疑の中で育つの実例|相場でどう見ればいいか

回復という言葉が、違う意味で使われる

企業の利益はまだ赤字なのに、株価が戻り始めることがあります。このとき「回復した」とだけ言うと、赤字が消えたのか、赤字の幅が縮んだのか、価格だけが上がったのかが混ざります。「強気相場は懐疑の中で育つ」は、このように不安が残る間の価格形成を考える際の格言です。

テンプルトンの考え方として紹介される言葉ですが、懐疑から上昇を機械的に予測するものではありません。以下は、その違いを読むために作った独自の仮例で、実在の市場や歴史的な相場の再現ではありません。

三つの時点を比べた独自の仮例

同じ企業群について、四半期の利益が公表された各時点に、架空の価格指数を観察したとします。対象企業と利益の集計範囲は変わらず、利益の単位は仮の共通単位です。指数は価格の水準を表し、配当を含みません。

公表時点架空の価格指数公表された四半期の利益合計
A10010
B80マイナス6
C92マイナス2

BからCで指数は15%戻っていますが、利益はまだ赤字です。赤字幅が縮んだことを回復の兆しと見る人がいる一方、黒字化できるかを疑う人もいる、と仮定できます。これは指数を利益から計算したモデルではなく、二種類の数字の読み分けです。

同時に変わっただけでは、原因までは分からない

例のCでは、価格が戻ったこと、赤字幅が縮んだこと、利益がなお赤字であることが同時に成立します。「数字が悪いから上昇するはずがない」と決めるのも、「価格が上がったから事業も回復した」と決めるのも、読み取れる範囲を超えます。

また、指数の上昇をすべて赤字縮小が引き起こしたとも、この表だけでは証明できません。将来利益への期待、金利、需給など、ほかの材料の影響はここでは設定していません。懐疑の強さも測定していないため、その強さから次の価格を求めることはできません。

期待の確認には、次の事業の資料が要る

Cの後に見るなら、売上の回復が続くか、費用削減が一時的か、資金が不足していないかなどが問いになります。赤字縮小が一度確認できたからといって、今後の黒字化や投資家の利益は確定しません。指数が戻っても、すべての構成企業の株価が同じように上がるとも限りません。

例のような説明は、結果を後から格言に当てはめるだけでは売買の手順になりません。いつ何の資料を見て、どの見通しを持っていたかを残せば、観察した事実と期待を分けて振り返れます。

出典