非課税なら、インフレにも負けないのか
NISAを使えば運用益にかかる国内の税負担を抑えられますが、投資先の収益率や物価上昇率そのものを決められるわけではありません。現金の購買力が気になるからといって、非課税口座で買う商品なら何でも十分な備えになるとは限りません。
本記事は2026年10月23日に確認した成人向けのNISAを前提に、国内の対象商品の売却益だけを考えます。非課税の対象、商品の値動き、家計が直面する物価の変化は区別する必要があります。外国の税や配当の受取方式など、別の条件をこの計算へまとめて入れたものではありません。
一年の運用結果を、同じ購買力で比べる独自例
架空の成人が、NISAの対象である国内商品を10万円で買い、一年後に10万5,000円で全額売れたとします。配当や分配、追加の入出金はなく、売買や保有の費用は除きます。国内の売却益は非課税の条件を満たしていると仮定します。同じ一年に、比較する買物の価格は3%上がったものとします。
名目の利益は5,000円、収益率は5%です。売却代金を一年前の価格水準へ直すと、10万5,000円÷1.03=約10万1,942円で、実質の収益率は約1.94%となります。5%から3%を引いた2%は近似であり、厳密には比率を割って求めます。どちらの率も説明用の仮定で、将来の運用成果や物価を予測していません。
税の利点を確認しても、投資先の分析は残る
例では値上がりしたため利益がありましたが、NISAで持つだけで商品の価格が上がるわけではありません。物価が上がっていても、保有先の企業の費用増加や販売不振で利益が減る場合があります。株価や投資信託の基準価額が下がれば、非課税という条件だけで元の購買力には戻せません。
また、平均的な物価指数の上昇と、自分が払う教育費や住居費などの変化は同じとは限りません。投資先の収益率と比較する際は、期間や通貨、費用を含める範囲をそろえます。違う年の物価上昇率を、今年だけの運用成績から引くと、同じ条件の比較になりません。
枠を埋める前に、使う時期を考える
物価への心配から、近いうちに使うお金まで非課税枠へ入れると、必要な日に下落していても売らなければならない可能性があります。NISAを利用することと、生活の急な支出や予定した支払いへの備えを残すことは両立して考えられます。
確認したいのは、何のために運用し、いつ使う予定で、価格が下がった場合にその支出をどう賄うかです。税制上の利点は手元に残る成果へ関わりますが、生活を支える計画全体の代わりにはなりません。非課税の利益、名目の残高、実質的な購買力をそれぞれ読むことで、制度の効果を大きく見積もり過ぎずに済みます。