残高が変わらないのに、不安になる理由
現金の残高が同じでも、日々の買物や将来の予定に必要な金額が上がれば、お金の使える範囲は狭くなります。インフレとは全体的な物価が継続して上がる状態で、金額そのものと、その金額で手に入れられるものを分けると影響が見えます。
額面でいくらあるかという見方を名目、物価の変化を考慮してどれほど買えるかという見方を実質と呼びます。ただし、すべての商品が同じように上がるわけではありません。平均的な物価の動きと、自分の使うお金の目的も分けておく必要があります。
五年間、預金を動かさない独自の計算
架空の同じ買物の組合せが、現在は100万円で買えるとします。その価格が年2%ずつ5年間上がり、数量と品質は同じという仮定です。一方で、預金100万円は取り崩さず、利息も税・費用もないものとします。年2%は説明用で、現在の物価上昇率や将来予測ではありません。
5年後に同じものを買う費用は100万円×1.02の5乗=約110万4,081円です。変わらない預金100万円の購買力を現在の金額で表すなら、100万円÷1.02の5乗=約90万5,731円になります。預金残高がその金額へ減ったのではなく、比較する価格水準をそろえた数値です。
物価への備えと、価格変動への備えは両方残る
例のような目減りを避けたいからといって、株式などを買えば必ず物価以上に増えるわけではありません。企業の利益は費用や販売数量でも変わり、株価は事業への期待や金利などにも影響されます。物価が上がっている時期に、保有資産の価格が下がることも考える必要があります。
長く置ける資金と、来月や来年に使う資金では負担できる値動きが違います。急な支出への預金には、すぐに払える役割もあります。実質的な購買力だけを理由に全額を値動きのある資産へ移せば、必要な日に売る負担を増やす可能性があります。
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家計なら、収入だけでなく何にどれほど支出しているかを並べると、どの価格変化に影響されやすいかが分かります。平均的な物価の数字をそのまま当てはめるより、将来払う学費や住まいの費用など、使う目的に沿って予定額を読み直せます。
企業へ投資する場合は、売上の増加が値上げによるものか、数量が増えた結果かを区別できます。売上が増えても費用がさらに増えれば、利益は減るかもしれません。インフレの理解は、特定の資産を必ず選ぶためではなく、残高、購買力、事業の稼ぐ力を違うものとして読むために使えます。