現金の価値が上がる話と、投資の安全性は別
「物価が下がるなら、お金の価値は上がる。それならNISAの資産も安心」と考えると、現金と値動きする商品が混ざります。デフレは幅広い価格の持続的な下落ですが、株式や投資信託の価格がそれと同じ方向・割合で動くわけではありません。
値下げが企業利益や賃金の弱さを伴う場合には、投資先の業績も悪くなる経路があります。一方、費用が下がって利益を守れる企業もあります。国内の物価だけで、海外資産の収益や為替の動きを決めることもできません。
NISAを使う際は、口座の税制、保有商品の収益と値動き、家計で必要な購買力をそれぞれ確認する必要があります。
物価が下がっても、投資の下落を埋めなかった仮例
NISAで保有する100万円の投資が、1年間で90万円になったと仮定します。追加投資や途中の分配はなく、90万円は費用を反映した残高です。同じ期間に、比較する物価が2%下がったケースを考えます。
元の物価で評価すると、90万円÷0.98=約91万8,367円です。実質収益率は0.90÷0.98−1=約−8.16%。同じ物が安く買える効果はありますが、この資産の購買力は元本時点より減っています。
この物価下落率や投資収益率は説明のための設定で、将来予測ではありません。また、平均的な物価指数と、自分の教育費や家賃などの支払いが同じ割合で変化するとは限りません。必要な資金が円で決まっているなら、その支払い額を用いた確認も残ります。
損失側の扱いを、非課税と取り違えない
2026年10月23日に確認した2024年からの成人向けNISAでは、非課税保有期間は無期限です。ただし、長く持てることと、どの商品でも元本へ戻ることは違います。会社の競争力や財務が損なわれた場合、期間を延ばすだけで解決するとは限りません。
国税庁の説明では、NISA内で生じた売却損を課税口座の利益と損益通算したり、翌年以降へ繰り越して控除したりすることはできません。非課税の口座でも損失は実際の資産減少として残ります。
そのため、値下がりした商品を「NISAなら回復まで待てる」と一律に放置するのではなく、購入理由が今も成立するかを確認します。課税関係を理由に損益そのものが変わるとは考えないことです。
デフレ予想だけで、すべて現金にも株にも寄せない
近い将来の生活費まで相場に投じていると、安い時期でも売却を迫られます。反対に、長期の目標をすべて現金で用意する判断も、将来の物価が上昇へ変わる場合を含めて検討が必要です。いずれも一つの物価予想だけでは決められません。
収入の安定性、使う時期、必要な金額を整理し、その後で投資先の地域や資産の分散を考えます。デフレの知識は、商品の価格と家計の購買力を別々に測るために使えます。NISAの非課税という特徴だけから、保有する商品や比率を導くことはできません。