下がる理由を探していたときに、形を見つける
買いそびれた株が上がり、「そろそろ下がるはずだ」と考えていた場面で、二日続けて高値がそろったとします。そこで形の名前を見つけると、自分の予想が裏付けられたように感じるかもしれません。問題は、毛抜き天井を見たことではなく、最初の予想に合う情報だけを選んでいないかです。
毛抜き天井は、高値圏で高値がほぼ同水準となる足の形を指します。上値が伸びなかったという観察と、参加者全員が売りたがっているという説明は同じではありません。チャートから個々の投資家の事情を直接読むことはできません。
高値以外の値も残した独自の二日間
架空の株が上昇した後の二日間を、次のように設定します。実在の値動きではなく、この先の価格は決めていません。
| 日足 | 始値 | 高値 | 安値 | 終値 |
|---|---|---|---|---|
| 1日目 | 1,010円 | 1,080円 | 1,000円 | 1,070円 |
| 2日目 | 1,070円 | 1,080円 | 1,040円 | 1,050円 |
二日目の高値は伸びず、終値も前日より低い一方、二日目の安値は前日より高くなっています。これらは同時に観察できる事実です。高値がそろった点だけを残すと、自分の予想に合わない情報が抜けます。複数の値を読んでも、その後の上昇や下落を確定できるわけではありません。
予想に反する情報を、最初から消さない
例で「1,080円に売り手が多いはず」と推測することはできますが、この表には注文状況も出来高も入っていません。どの参加者がどれだけ売ったか、会社の価値をどう考えていたかは不明です。見えていない事情を、もっともらしい物語で補わないことが必要になります。
売買前に記録するなら、観察した二本の高値と、今後下がるという予想を別の欄へ置けます。高値を超える、業績の見通しが変わるなど、自分の説明を読み直す材料も先に書けます。反対材料を同じ数だけ集めれば偏りが消える、という機械的な方法ではなく、内容が判断へどう関わるかを読む作業です。
利益確定の焦りと、損失回復の焦りは金額へ表れる
既に保有している人は値上がり益が減るのを怖がり、保有していない人は下落を待ち望むなど、同じ図でも期待は違い得ます。こうした場面設定は考え方を点検するためのもので、誰もが同じ行動を取るという実証結果ではありません。
形を見た直後だけ取引額や頻度が増えたなら、何の情報が変わったのかを振り返れます。相場を一日見送ることも選択肢ですが、それだけで次の価格が有利になるわけではありません。観察、予想、注文する額を分けて記録すれば、値動きの結果だけで自分の判断を正当化する癖に気づきやすくなります。