人気があると調査を省いてしまう
群集心理に従う弱点は、多くの人の判断を自分の根拠の代わりにしてしまう点です。「これだけ話題なら間違いない」と考えると、情報の出所や現在の価格、保有量を調べる作業が抜けることがあります。
反対に、人気の銘柄が常に割高で、人気のない銘柄なら安全というわけでもありません。多数の人が正確な公表資料を見て同じ結論へ至る場合もあります。他人と同じか違うかではなく、何を根拠にどれだけ買うかを自分で説明できるかが分かれ目です。
50件の投稿が50個の根拠とは限らない
架空の銘柄について「大型契約が近い」という投稿が50件あり、そのうち49件が最初の1件を引用していたとします。独立した確認が50回あったわけではありません。元の1件にも会社資料がなければ、契約の有無は未確認のままです。
元の資料、公表時刻、契約金額、利益へつながる条件を調べます。正式な契約発表があったとしても、採算や実施時期、現在価格へどこまで反映されたかは別の問いです。広く共有された情報を早く見つけた感覚と、他の参加者より早く知った事実を混同しないようにします。
同じ理由で買う人が同時に売ろうとする
周囲の推奨だけで買った場合、悪い噂が広がったときにも周囲と同じ行動へ傾く可能性があります。いつも売買が多いからといって、急いで売りたい時に希望価格で全量を売れる保証はありません。
仮に1,000株を持ち、買い注文が1,000円に100株、990円に200株、980円に700株だけあったとします。注文が変わらず、この範囲で順に売買が成立する単純化した例では、代金は98万4,000円、平均984円です。直前の価格1,000円で全株売る計算の100万円より1万6,000円少なくなります。手数料は除きます。実際の板は変わるため、この金額自体も保証されません。
人数と保有量を切り離して点検する
購入理由を書いたメモから、投稿数、ランキング、知人の利益額を消してみます。その後にも契約内容や利益見通し、価格評価などの根拠が残るかを確かめます。保有額は他人の投入額に合わせず、自分の総資産に対する比率と下落時の損失額から考えます。
売る理由も「皆が売ったら」だけにせず、購入時の見通しが崩れる条件や資金を使う時期を残します。人気の変化を一切無視する必要はありませんが、それを情報の正確さや売却の容易さの保証にしないことです。元資料に到達できない話は未確認として扱い、確認が済んだ事実と並べて断定しないようにします。