上がった安心感で、抱える値動きまで増えていないか
長期で持つつもりの資産が上がると、そのまま何もしなくてよいと感じることがあります。保有理由が変わっていなければ持ち続ける選択はありますが、家計全体でどれほどの値下がりを受ける状態になったかは別に点検が必要です。
楽観相場は、先行きへの明るい見方が広がる局面を指す表現で、正式な判定式のある指標ではありません。長期投資では、その言葉から直ちに売り時を決めるより、価格上昇によって保有比率が変わったかを測る方が具体的です。
金融庁の資産形成の説明は、家計の予定と長期・積立・分散を組み合わせています。長く持つことだけで、必要な時期の支出や資産の集中を無視できるわけではありません。
購入しなくても、比率が変わる一つの仮例
独自の仮例で、値動きする資産60万円と現金40万円、合計100万円を持つとします。自分が決めた目標配分を60%と40%と仮定しますが、これは万人向けの推奨比率ではありません。
値動きする資産だけが50%上昇し、現金の利息や入出金はないとすると、90万円と40万円で合計130万円です。値動きする資産の比率は90÷130=約69.23%へ増えます。追加購入していなくても、当初よりその価格変動を多く受ける状態です。
同じ目標へ戻すなら、130万円の60%に当たる78万円を値動きする資産、52万円を現金とするため、12万円分を調整します。税金や費用は除いた計算です。実際は売却以外に、その後の積立先を変えて調整する方法もあり、時間や金額の条件が異なります。
調整の目的を、天井当てに変えない
保有比率を戻すのは、以後の上昇を否定する判断ではありません。さらに上がれば調整しない方が増える場合もありますが、下がった場合の家計への影響を、自分が決めた範囲へ近付ける目的があります。比率を決めた後は、点検の時期やずれを見直す条件もそろえます。
一方、投資先の事業が伸びているのに、値上がりだけを理由に必ず全額売る必要があるわけでもありません。長期で利益成長を待つ理由と、家計に対して一銘柄が大きすぎる問題を分けると、全売却か放置かの二択になりにくくなります。
複数の商品でも、同じ業種や同じ国の株へ偏っていれば一緒に動く場合があります。GPIFの分散の説明も、銘柄数だけでなく値動きの違いを組み合わせる考え方を扱っています。特定の組み合わせが常に損を防ぐという意味ではありません。
使う時期が近づいた資金は、相場観と別に見る
退職後の支出や住宅など、使う予定が近い資金を値動きの大きな資産で用意していると、支払い時の下落を待てません。最近の上昇が続くという見通しだけで、取り崩しの準備を先送りしていないかを確認します。
また、業績悪化や借入れ増加がある会社を、長期投資という名目で持ち続けることにも別の点検が要ります。長期で生かす視点は、景気への楽観を保ち続けることではなく、目的、資産の偏り、保有理由を価格が動いた後も確認できる状態にしておくことです。