明るい見通しが価格へ反映される局面
悪いニュースが出ても株価があまり下がらず、将来の成長や利益回復への期待が語られる。こうした場面を楽観相場と表現することがあります。市場参加者の先行きへの見方を表す言葉で、数値が一定以上なら必ず該当する、と決まった指標ではありません。
株価上昇には実際の業績改善や金利、需給など複数の理由があります。上がったという結果だけで全員が楽観していると特定することはできません。野村證券の担当者の解説にも市場心理の見方がありますが、それだけで天井や底を正確に予測できるという実証とは分けて読む必要があります。
初心者が区別したいのは、企業が稼ぐ利益の見通しと、その利益に対して投資家がどれほど高い価格を払っているかです。
業績が良くなっても、買った株価へ戻らない例
独自の仮想企業で、1株当たり予想利益(EPS)が100円、株価2,000円なら、株価をEPSで割る予想PERは20倍です。利益予想は変わらないまま、期待から株価が3,000円になったとすると、PERは30倍になります。
その後、EPSが120円へ伸びても、市場が付ける倍率が20倍に戻ると仮定すれば、対応する株価は120×20=2,400円です。利益は増えているのに、3,000円で買った人には値下がりになります。配当、費用、税金は含めず、株式分割等のない設定です。
この計算は実在企業の適正価格や将来のPERを予想したものではありません。利益が成長することと、今より株価が上がることの間に、価格へ織り込まれた期待という条件があることを示しています。
悪材料への反応が鈍い理由も、一つとは限らない
悪い決算で下がらなかったとしても、楽観が行き過ぎたためとは限りません。投資家がもっと悪い結果を予想していた、今後の改善を評価した、一時的な注文が価格を支えた、といった可能性もあります。一日の値動きから理由を断定せず、発表内容とそれ以前の予想を照合します。
企業の利益予想、売上数量、利益率、借入れや現金の状態を点検すると、好材料が事業の改善なのか、期待の上乗せなのかを考える材料になります。同じ銘柄がSNSで何度も紹介されることは、独立した複数の裏付けがあることとは違います。
PERのような倍率も、同じ業種や利益の条件で比べる必要があります。一時利益で低く見えたり、赤字で使えなかったりするため、一つの倍率だけで楽観の程度は測れません。
楽観を感じても、すぐ売る公式にはしない
楽観的な見通しが正しく、利益がさらに伸びる場合もあります。反対に予想を下回れば、利益と評価倍率の両方が弱まる場合もあります。「皆が強気だから逆を張る」というだけでは、いつ変化するかの根拠がありません。
買う前に、どの利益見通しを受け入れ、何が違えば見直すかを残します。すでに持っている場合も、最近上がった安心感によって購入額を増やしすぎていないかを確認します。楽観相場という言葉は、期待と価格の関係を考え直す入口として使えます。