数字をそのまま期限にすると、格言の範囲を超える
下がった株を見て「底百日だから、その日数だけ待てばよい」と考えると、価格や事業の変化を確認する理由がなくなります。これが「天井三日、底百日」を使いすぎる時の大きな弱点です。
格言は、高値の時間が短く、安値圏の停滞が長くなる場合があることを表す言葉です。観測されたすべての銘柄の平均日数や、必ず成立する法則ではありません。売買日数か暦日かを数えれば正しい、という問題でもありません。
また、上昇が始まって三日たっただけで天井と決めると、その後も続く上昇を想定できなくなります。格言だけでは、今日の価格を将来の頂点や底と特定できません。
百日近く動かなかった後でも、下がる仮例
独自の架空例で、900円の株を100株購入し、その後は870~930円の間で100営業日ほど往復したとします。ここまでは値動きが乏しく、底を固めているように見えるかもしれません。
しかし、その後に株価が800円になるケースなら、購入額9万円に対して評価額は8万円で、費用や配当を除く含み損は1万円です。長く同じ範囲にいたことは、下への動きを止める条件ではありません。
この期間や価格は実際の統計ではなく、待った日数と下値の保証を切り離すための設定です。後からさらに低い安値が現れれば、それ以前の横ばいを底と呼ぶ判断自体が変わります。
待つ間に、購入理由が崩れている場合がある
企業の利益、資金繰り、競争力が悪くなっているのに、価格だけが動かないことを安心材料にすると、情報の変化を見落とします。取引が薄く、株価に変化が出ていないだけの場合もあります。
損失を取り戻すために買い増すと、値下がりを受ける株数も増えます。格言は追加購入の採算や、家計で負える損失を計算する道具ではありません。今の条件で新たに買う理由があるかを、最初の購入価格から離して確かめる必要があります。
長期投資へ切り替える場合も、短期の見込みが外れたからというだけでは説明が不足します。事業の価値と、長く資金を置ける家計の事情が、その判断を支えるかが問題です。
逃げる価格を決めても、約定の保証ではない
見方が崩れる価格を記録しておくと、日数だけで判断を先送りしにくくなります。ただし、逆指値を設定しても、その価格で必ず売れるわけではありません。価格到達は発注の条件であり、成行なら想定と異なる価格、指値なら売れない結果があり得ます。
観察の条件、注文の条件、生活上の支払い時期を別々に持つ必要があります。「底は長い」という一言でどれも無期限に延ばしてしまうことが、この格言の誤用です。