ナンピンと無制限の買い増しを分ける
ナンピン買いは、保有する株などが下がった価格で追加購入し、平均取得単価を下げることです。ナンピン地獄は、下落するたびに追加し、平均単価を下げること自体が目的になっている状態を表す俗称です。制度名や、利益を保証する手法の名前ではありません。
下がった価格で買うこと自体が、すべて不合理とは限りません。現在の価格と将来の見通しを評価し、予定した範囲で追加する場合もあります。問題は、保有中だから、損を確定したくないからという理由だけで、事業や資金の条件を見ずに増やし続けることです。
平均900円でも含み損は6万円になる例
架空の株を1,000円で100株、800円で100株買ったとします。取得額は10万円と8万円の合計18万円、保有数は200株なので、平均取得単価は900円です。その後600円になると評価額は12万円で、含み損は6万円になります。費用、配当、税金を除く計算です。
最初の100株だけなら、同じ600円時点の評価額は6万円、取得額10万円との差は4万円です。平均単価が1,000円から900円へ下がっても、追加購入分で2万円の損失が増えています。損益ゼロへ戻る価格は低くなりますが、保有株数が増えたことで値動きの影響も大きくなります。
戻るための率と失う金額は別の数字
先の例では、600円から平均単価900円へ戻るのに50%の上昇が必要です。追加しなかった場合の買値1,000円へは約66.7%の上昇が必要なので、必要な反発率だけを見ると楽になったように見えます。しかし、600円へ下がったときの損失額は6万円と4万円で違います。
買値へ戻りやすく見えることは、これからの値上がり確率が高まったことでも、損失が小さくなったことでもありません。追加する前に、さらに下がった場合の評価額と、資産全体でその一社が占める割合を計算します。平均単価だけで安全性を判断しないことです。
追加を新しい投資として評価する
買い増しも新規購入と同じように、最新の決算、利益見通し、財務と現在価格を確認します。過去に買った価格は自分の損益を計算する数字ですが、会社の利益を決めません。初めて調べた会社だとしても今の価格で買うか、他の投資先や現金と比較します。
総額と追加条件は先に置き、下落のたびに上限を広げていないか記録します。事業が悪化した場合には、安くなったという理由だけで予定どおり買い続ける必要はありません。追加しなかった後に反発しても、結果だけで判断を採点せず、資金と見通しに沿った選択だったかを確認します。