遠くの戦争は買いの注意点

遠いことと影響が小さいことは別

「遠くの戦争は買い、近くの戦争は売り」は、戦地との関わりによって企業や市場への影響が違うという相場格言です。三井住友DSアセットマネジメントの2021年資料でも紹介されていますが、当時の市場分析を現在の予測として使うことはできません。

自国から遠くても、資源の調達、輸送経路、現地の販売先や金融取引を通じて影響が及ぶ場合があります。「遠い」と判断しただけでは、ある企業の利益への影響が軽いとは結論づけられません。

急落後の同じ買値から二つの経路を置く

架空の株価が1,000円から850円へ下がり、850円で100株を買ったとします。取得額は8万5,000円です。その後700円なら評価額は7万円、損失は1万5,000円になります。急落前より安く買えたことは、その後の損失を防ぎません。

反対に1,000円へ戻れば評価額10万円で、利益は1万5,000円です。二つは同じ買値から置いた仮定で、どちらも起きる確率を示していません。配当・税金・費用を除いています。

回復した事例だけを後から集めると、実際に購入した時点で続落もあり得たことが抜けます。安く買えたかどうかは、事後の結果と購入前の判断材料を分けて振り返る必要があります。

終わる時期を資金計画に埋め込まない

短期で反発するつもりで、近く使う予定の資金まで投じると、反発が遅れた際に売却が必要になる場合があります。出来事が収束する時期と、企業利益が回復する時期、株価が動く時期は一致するとは限りません。

会社が業績影響を精査中としている段階では、影響がないと読み替えず、確定した数値と推測を分けられます。新しい開示で調達費用や販売見通しが変われば、当初の判断も見直す余地があります。

格言の買いを注文に直結させない

この言葉は、すべての有事で同じ行動を取る規則ではありません。自分がどの企業の、どの事業への影響を小さいと考えたかまで説明できて初めて、距離以外の材料を使った検討になります。

見通しが立たないときは、売買せず開示を待つ選択も残ります。反発を急いで取りに行く理由と、負担する損失や資金の期限を同時に考えることが、格言を広げすぎないための基準です。

出典

参考資料の確認日:2026年10月23日。