一月だから上がる、と日付だけで決めない
年末年始に「1月効果」という言葉を聞くと、新年の取引で買えば有利だと感じるかもしれません。しかし、これは制度によって価格が上がる仕組みではなく、過去の収益率に見られた季節性を表す呼び名です。通常の説明では捉えにくい観測という意味で、アノマリーの一つとして論じられます。
Thalerの1987年論文の公開要旨では、小型株や過去に大きく下落した株などに関する1月の傾向を取り上げています。昔の市場や期間についての研究を、現在の日本株すべてに適用できる保証と読むことはできません。
平均がプラスでも、毎回勝つとは限らない
独自の架空例として、ある対象の五年分の1月収益率を、マイナス8%、+1%、+2%、+3%、+12%と置きます。算術平均は2%で、プラスだったのは五回のうち四回です。配当、費用、税金を除いた仮定で、実在市場のデータや勝率ではありません。
平均が2%だから、次の1月も2%増えるわけではありません。この例にも大きな損失の年があり、一度の大きな上昇が平均を押し上げています。五年だけでは、対象が変わっても続く傾向なのか、偶然なのかを確かめる材料としても足りません。五年の平均と、五年間持ち続けた複利の収益も別の計算です。
なぜ起こるかは、観測とは別の問い
説明の仮説には、年末の売却や年明けの取引行動の変化などがあります。税に関する動機や機関投資家の売買を挙げる研究・講義資料もありますが、国や時代、対象によって条件は異なります。一つの理由で必ず起こる現象と断定することはできません。
また、広く知られた傾向を取引で利用しようとする人が増えれば、観察する時期や価格の形成が変わる可能性もあります。過去の平均が出ていることと、その平均を実際に取引して得られることは違います。
検証するなら、売買の条件までそろえる
過去の説明を読む際は、どの国の、どの規模の株を、何年から何年まで調べ、どの日の価格で買って売ったのかを読みます。売買できなくなった銘柄を除いていないか、配当や費用をどう扱ったかでも結果の意味は変わります。
小型株を対象にするなら、希望した数量をその価格で売買できるかも別の問題です。見かけの収益があっても、手数料や売買価格の差で手取りが減る場合があります。月の名前を買い合図にせず、研究の条件と自分が実行できる条件が対応するかを調べるための用語として読むことになります。