もう底だ、という判断には何が入っているか
値下がりが続いた株を見て、「そろそろ十分に下がった」と感じることがあります。しかし、何日下がったか、以前の高値からどれほど離れたかだけで、次の価格は決まりません。上昇中に「もう高すぎる」と感じる場合も、感覚と転換の事実を区別する必要があります。
「もうはまだなり、まだはもうなり」は、底や天井についての思い込みを点検する相場格言です。前半だけを取り出して、現在のトレンドがずっと続くと読むのも不十分です。反対の可能性を残す後半と併せて読む言葉です。
同じ現在から、違う未来を置く独自例
架空の株価が1,300円から1,000円へ下がった時点を考えます。その後に800円へ下がる場合もあれば、1,200円へ戻る場合もある、と二つの仮の展開を置きます。この二つは同時に起きる実績ではなく、どちらが起きる確率かも設定していません。
「もう下がり終わった」と思って買う人には、さらに下がる場合の負担が残ります。「まだ下がる」と購入を見送る人には、反発して買いたかった価格を逃す可能性が残ります。格言は、この迷いを消す答えではありません。今の判断が外れた場合を、どちらの側からも考えるために使えます。
反対を想像することと、逆に注文することは違う
例で自分が下落継続を予想したからといって、必ず買う必要はありません。逆を選ぶだけなら、根拠のない判断を別の根拠のない判断へ替えたにすぎません。会社の業績、資金繰り、価格に対する評価など、判断材料を足す作業が必要です。
また、どんな値動きの後でも「格言どおりだった」と言える説明では、将来の売買手順になりません。予想した時点の情報と、後から分かった価格を分ければ、この言葉が具体的な予測式ではないことが見えてきます。
注文の前に、間違った場合を言葉にする
使う場面は、相場が自分の望む方向へ動くと確信して、投入額を急に増やしたくなったときなどです。例の株なら、下方修正があったか、何を根拠に下げ終わりと見たか、再び下がった場合に現金を必要としないかを具体的に調べられます。
何も分からないから永久に保留することも、この格言が求める唯一の行動ではありません。投資額や使う予定の時期、次に見直す材料を決めることで、不確実なままでも判断の範囲を整理できます。思い込みを弱めることと、天井や底を当てることは別です。