インフレの正体とは?よくある失敗でわかる投資判断の使い方

売上が増えた決算を見て、安心してしまう

物価が上がっている時期の増収を見ると、「企業も値上げできているから利益は守られる」と判断したくなる場合があります。しかし、売上は販売価格と数量の両方で変わります。その裏側で仕入れや人件費が増えていれば、残る利益は違う動きになります。

インフレは全体的な物価の継続的な上昇であり、あらゆる企業の販売価格と費用が同率で動くという意味ではありません。価格転嫁とは、増えた費用を販売価格へ反映することですが、値上げを発表した事実だけで、増加分を十分に吸収できたと判断することはできません。

値上げしても、差額が減る独自の仮例

架空の会社が、ある商品を一期間に100個、1個100円で販売していたとします。仕入れなど数量に応じる費用は1個60円です。次の同じ長さの期間に、販売価格を110円へ上げた一方、その費用は1個75円になり、販売数量は100個のままだったと仮定します。

項目前の期間次の期間
売上10,000円11,000円
設定した数量連動の費用6,000円7,500円
その費用を引いた差額4,000円3,500円

売上は10%増えても、差額は500円減っています。ここでは固定の費用や税、資金調達などを置いていないので、差額を会社の最終利益とは呼べません。実在の会社の決算を縮小した数字でもありません。

数量や会計の範囲をそろえずに比べない

例は数量を固定していますが、実際には値上げ後に売れる数が減る場合も、需要が強く数が増える場合もあります。売上の増加率一つから、価格転嫁の度合いや顧客の反応を読み切ることはできません。複数の商品があれば、売れる商品の構成が変わった影響も入ります。

また、費用が仕入れ時に増えても、在庫や契約の条件によって、決算へ反映される時期は違い得ます。異なる期間の値上げと費用の変化を並べるだけでは、同じ対象を比較できないことがあります。会社の説明が売上総利益、営業利益、純利益のどれを扱うかも区別する必要があります。

「インフレに強い」の条件を具体的にする

事業の資料では、価格変更がいつ適用され、対象の売上はどの範囲で、数量や主要な費用がどう変わったかを追えます。会社が価格の効果と数量の効果を分けていなければ、分かることの限界も残ります。「ブランドがあるから上げられる」といった印象だけで、その限界を埋めないことが大切です。

仮に利益を維持できても、株価が上がるかは別です。既に高い成長を期待した価格かもしれず、金利などほかの条件も変わります。物価上昇という一つの材料を、増収、増益、投資の成功へ一直線につなげない読み方が、失敗を避ける手掛かりになります。

出典