吸収するという比喩だけでは、判断に使えない
市場には資金が多いので、大きな売りが出ても吸収できる、と聞くことがあります。しかし、どの価格で何株の買い注文があるかが分からなければ、どこまで受け止められるかは測れません。
この記事では「スポンジ効果」を、売買注文が相手の注文によって受け止められる様子の比喩として扱います。取引所が定めた正式な投資法則や、一定の計算式を持つ指標としては使いません。スポンジの大きさのような一つの数字を想定せず、注文の価格と数量へ置き換えて考えます。
同じ価格では、売りを全部受け止められない例
独自の単純な板の例で、買い注文が1,000円に100株、995円に200株あるとします。この時に300株の成行売りを出し、他の注文の追加・変更・取消がなく、特別気配などの制約もなく表示した条件で約定すると仮定します。株数は内国株の通常の100株単位に合わせています。
高い買い注文から売買が成立するため、100株は1,000円、残り200株は995円となり、売却代金は10万円+19万9,000円=29万9,000円です。費用や税金を除いた金額です。
先頭の1,000円だけを見て30万円で売れると考えると、1,000円の差が出ます。平均の売却単価は約996.67円ですが、実際の注文は二つの価格で成立した設定です。平均に端数があることは、端数株を売ったことや、約定価格がこの平均だったことを意味しません。
注文は変わるので、板の厚さは保証ではない
買い注文が多く見えても、約定前に取り消されたり、別の売り注文が先に来たりすれば、自分が売れる条件は変わります。板はその時点の注文の状態で、将来の買い支えの契約ではありません。成行注文の約定価格は、発注時には確定していません。
指値なら売りたい価格の下限を指定できますが、相手がいなければ全部または一部が売れない場合があります。価格と数量を合わせて読む必要があり、出来高が多かったという過去の記録だけで、次の売却も容易だとは決まりません。
市場全体へ資金が貯まる、という説明とも分ける
通常の株式の売買では、購入者が代金を払い、売却者が受け取ります。市場という容器へ、その売買代金が同じように蓄積され続けるわけではありません。新株発行で会社が調達する資金とも区別します。
比喩を使うなら、何の注文が、どの価格で、どれだけ成立したかに戻します。売買の仕組みを説明する助けにはなっても、今後の資金流入量や株価の上昇を予測する法則へ広げることはできません。