流動性の法則の実例|相場でどう見ればいいか

300株を売るとき、現在値だけでは足りない

保有株を売って30万円を用意したいとき、現在値に株数を掛けた金額がそのまま手元へ入るとは限りません。買い手が希望する価格と数量を合わせて見る必要があります。流動性は、売買したい数量を価格への影響を抑えて取引できる度合いです。「流動性の法則」という単独の予測公式があるわけではありません。

板とは、価格ごとに売買注文を並べた画面です。売る人が確かめるのは買い注文で、最も高い買い値に自分の数量を全て引き受ける注文があるかを読みます。

成行と指値では、変わる負担が違う

図の仮想板は、買い注文1,000円に100株、990円に200株で、途中に新しい注文や取消しが入らない前提です。300株を成行で売ると、1,000円の100株が先に成立し、残る200株が990円で成立するため、10万円+19万8,000円=29万8,000円になります。平均価格はこの金額を300株で割った約993.33円です。

1,000円の指値で300株を売る場合、同じ板のままなら成立できるのは100株までです。残り200株は1,000円以上で買う注文を待つため、全額をその場で現金化できるとは限りません。成行は価格が下がる負担、指値は数量が残る負担を比較する例です。どちらが必ず有利という順位にはできません。

価格差と手数料を分けて記録する

売りたいのが100株なら、この仮想板では1,000円で成立できます。同じ銘柄でも300株へ増えると、下の価格を使う必要が生じます。直前値からの差2,000円は、仮に見込んだ30万円の約0.67%に相当し、証券会社へ払う売買手数料がゼロでも残る価格差です。

実際の板は動くので、この表示を保存しても同じ結果を再現できるとは限りません。注文を出した時刻、数量、指値、実際の約定価格を残し、どの程度の数量で表示価格から離れたかを振り返ります。他人が少額で取引できた実績を、自分の大口の売却へそのまま当てはめないことです。

家計の換金期限も注文条件に入れる

平常時の出来高が多くても悪材料の直後には買い注文が引っ込むことがあります。長く保有する予定でも、家計の都合で急に現金化する可能性は残ります。

支払日が決まっている資金では、希望価格にこだわって注文を待つ時間も負担になります。逆に、急ぐ事情がない売却を焦って成行へ変更すると、想定より低い価格まで売り進む場合があります。希望価格、最低限必要な現金、待てる期日を先に分けておくと、注文方法を選ぶ理由が明確になります。

一日の出来高が多い銘柄でも、特定の瞬間に十分な買い注文が残る保証はありません。出来高は過去に成立した取引量、板は現時点の注文状況です。両方を見ても将来の約定は確定しないため、注文後は成立した株数と未約定の残りを確認します。

出典