ITバブルとは?よくある失敗でわかる投資判断の使い方

技術の普及を、そのまま保有株の利益にしない

インターネットが社会へ広がるという見方が正しくても、その関連企業をどんな価格で買っても報われるわけではありません。ITバブルを振り返る時は、技術への期待、企業の採算、投資家が払う株価を分ける必要があります。

1990年代後半から2000年頃には、ネット関連企業への期待と資金が集まり、その後に株価が大きく調整しました。成長する市場にいることと、個々の会社が十分な利益や現金を残せることは、同じ条件ではありません。

利用者を増やすほど、資金が必要になる仮例

独自の仮想ネットサービスで、新規顧客一人を獲得するための広告などに6,000円を使うとします。その人からの月売上が1,000円、サービス提供に伴って増える変動費が700円なら、獲得費の回収へ回せる金額は月300円です。

売上と変動費が変わらず、12か月で利用をやめれば、残る合計は3,600円で、獲得費6,000円に届きません。回収には単純計算で20か月の継続が必要です。固定費、税金、金利や時間による価値の差は除いた設定なので、20か月続けば会社が必ず黒字になるという意味でもありません。

実際には顧客ごとに継続や費用が違います。これは当時の企業の実績ではなく、利用者数の伸びを読む時に、獲得費と継続して残る金額も要ることを示す例です。

値下がり前の価格を、価値の基準にしない

高値から大きく下がった株を見ると、元に戻るだけで大きな利益になると考えやすくなります。しかし、以前の価格が妥当だったかも、企業の資金が回復まで持つかも、下落率だけでは分かりません。

FRBのJefferson副議長は2025年の講演で、当時のネット企業の多くでは実現した利益が乏しく、収益への期待が投機的だったと振り返っています。これは当時すべての企業が同じ状態だったという意味ではありません。

売上や会員数以外に、費用、現金の減り方、追加調達の条件を読みます。調達できなければ計画を実行できない事業では、将来の成長率だけを延長する計算は足りません。

生き残った会社だけを見て、当時の判断を簡単にしない

現在も成功している企業を知った上で過去を見ると、その会社を選んで長く持てばよかったと感じます。ただし、当時はどの会社が残るかが確定していませんでした。消えた企業や、新たな資金調達で株主の条件が変わった場合も含めて考える必要があります。

歴史から持ち帰る問いは、次の技術ブームが同じ日に崩れるかではありません。顧客の支払いがどの費用を賄い、必要な現金をいつ回収できるかまで説明できるかが、成長の物語を点検する手掛かりになります。

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