値上がりしたことが、次の買う理由になる
ある株が上がり、買った人の利益が目立つようになると、事業の見通しより、次も高く売れそうだという期待が購入を後押しする場合があります。その購入でさらに価格が上がれば、値上がりが期待を強める循環が生まれ得ます。
ここでいうバブル心理は、こうした価格の上昇と期待の相互作用を考えるための言葉です。上がる株はすべてバブル、参加する人は全員同じ心理、という分類ではありません。
利益が変わらないまま、価格だけが上がる仮例
独自の架空株で、一株利益を50円に据え置き、株価が1,000円、1,500円、2,000円へ上がるとします。株価を一株利益で割るPERは、20倍、30倍、40倍になります。比較する利益の期間と定義は同じです。
最後の2,000円で100株を買い、その後1,200円で全株を売れたなら、購入額20万円に対して受取額12万円、差額は8万円の損失です。売買費用、税金、配当は除き、表示した価格で売買できたと仮定しています。実際の下落率や、次に起きる値動きを示した例ではありません。
もっと高く買う人が後から来るはずだと考えていても、その相手と価格は約束されていません。過去の値上がり率と、これから売れる価格を別に扱う必要があります。
PERが高くなった理由を、心理だけで決めない
利益に対する価格が上がることは、利益以外の期待が変わった手掛かりにはなります。ただし、将来の成長や金利、事業のリスクが変われば、投資家が払う価格も変わり得ます。今期の一株利益を一定にした例だけでは、価格が本来の価値から外れたと証明できません。
セントルイス連銀の解説も、資産の基礎的な価値を測る難しさや、価格と利益の比率が変わる理由を挙げています。比率一つで崩れる日を特定する使い方には向きません。
購入理由に新しい受注や利益の裏付けがあるのか、単に過去の値上がりを延長したのかを分ける方が、心理を点検する具体的な入口になります。
自分が買う条件と、耐えられる損失を切り分ける
値上がりしている間は、周囲の利益を見て急ぐ気持ちが強まる場合があります。誰かの成功談は、その人の購入時期、保有額、売却の有無まで同じ条件だとは限りません。
資金を使う予定、同じテーマへの保有の偏り、仮説が違った時の対応を、価格の勢いとは別に残します。価格が上がったという観測だけで、企業の利益や自分の売却機会まで保証されたと考えないことが、この例で確かめたい点です。