利食い千人力の注意点

確保した利益と次の投資の条件

利食い千人力は、値上がり益を実現して確保する意義を表す相場格言です。ただし、何度も売れば利益が増えるとか、売った後は安く買い戻せるという意味ではありません。

売却すると、その株式の将来の値上がりや配当を受ける機会を手放します。課税口座なら税金、商品や取引条件によっては手数料も生じます。売った部分だけの利益と、売買を続けた後の資金を分けて読む必要があります。

税引後に残る現金を一つの例で読む

2026年の一般的な居住者について、課税口座の上場株式を2,000円で100株取得し、2,600円で売れたとします。取得額20万円、売却額26万円、利益6万円です。源泉徴収される特定口座で、他の損益と通算せず、費用・配当もない条件にします。

この利益へ20.315%がかかると、税額は1万2,189円、税引後利益は4万7,811円です。売却後の現金は24万7,811円になります。大口株主等を除く一般的な上場株式の仮例で、NISAの非課税売却とは区別しています。

同じ100株を再び2,600円で買うなら、費用を除いて26万円が必要です。上の現金だけでは1万2,189円足りません。利益を確定した取引であっても、同じ価格で同じ株数へ戻る資金が残るとは限りません。

買い戻せる価格は先に決まらない

売却後に株価が下がれば、より安く買える場合もあります。しかし、必ず下がるとは限らず、上がれば同じ株数に必要な額はさらに増えます。高いところで売り、安いところで買えた結果だけで方法を評価すると、実行できなかった経路が抜けます。

一方、近く使う現金を確保するための売却なら、その後の上昇をすべて取れなくても目的を満たす場合があります。格言に対する成否は、利益を最大化できたかだけでなく、何のために売ったかと合わせて考える必要があります。

一律の利確率を作らない

利益が出たら一定割合で必ず売るという規則は、格言そのものからは決まりません。保有目的、価格に含まれる期待、税金、現金の必要性を検討する余地があります。

実際に比較するなら、売却益の合計に加え、税金や費用を引いた現金と残る保有資産を、同じ時点で評価できます。利食いを繰り返した回数だけでは、全体の収益は分かりません。

出典

参考資料の確認日:2026年10月23日。