半導体サイクルとは?実例でわかる投資判断の使い方

在庫が減った、その理由から確かめる

半導体企業の在庫減少を見て「売れ始めたので回復が確定」と考える前に、生産と出荷の関係を確かめる必要があります。出荷が増えた場合だけでなく、生産を減らした場合にも在庫は減ります。

半導体サイクルは、需要の変化、顧客とメーカーの在庫、供給能力の調整がずれる中で起こる変動です。キオクシアの2025年の説明にも、需給のずれと減産による在庫調整が出てきます。ただし、同社の過去の対応から他社の回復時期まで決まるわけではありません。

以下は実在企業の実績を使わず、在庫の増減を読み解くための独自の仮例です。

二か月の生産と出荷を分けて計算する

同じ仕様の製品について、数量の単位を万個とし、月初在庫に当月生産を足し、出荷を引くモデルを考えます。廃棄や返品、他拠点との移動はない設定です。

期間月初在庫生産出荷月末在庫
1か月目2001,000900300
2か月目300850950200

1か月目は200+1,000−900=300で在庫が積み上がります。次の月は生産を抑えたため、300+850−950=200へ減ります。出荷は前月より増えていますが、在庫を減らした背景には生産抑制もあります。

また、顧客へ出荷した後に、その顧客が在庫として持つ場合があります。このメーカーの在庫と出荷だけでは、スマートフォンなどの最終製品がどれだけ消費者へ売れたかは分かりません。

金額と数量、製品の仕様を混ぜない

実際の決算で見える在庫は、多くの場合は金額です。評価額の低下、為替、製品構成の違いでも動くため、数量の在庫と同じものとして読み替えることはできません。原材料、仕掛品、完成品のどこが増減したかも、開示があれば分けます。

メモリでは出荷する記憶容量や容量当たりの単価が材料になることがあります。同じ個数でも世代や仕様で容量が変わるため、仮例の個数をそのまま実際の全製品へ当てはめることはできません。

在庫調整を確認する際には、数量や稼働、販売単価の説明と照合します。生産を減らして在庫は改善しても、固定費負担で利益が弱い場合があります。量の調整が済んだことと、採算が回復したことは別です。

回復を判断するには、その後の注文と利益も見る

出荷が続いた後、顧客が新しい注文を増やすか、販売単価が下げ止まるか、工場稼働を戻せるかを順に確認します。ただし、どの数字を公表するかは会社で違い、資料にない受注や数量を推測だけで補うことはできません。

株価は実績より先に回復期待を織り込む場合もあるため、決算で在庫改善を確認できたことが、その日の割安さを保証しません。仮例から使えるのは、在庫の減少理由を分解する手順です。特定の回復時期や、買えば利益が出る銘柄までは導けません。

出典