ピーター・リンチとは?よくある失敗でわかる投資判断の使い方

店が混んでいるから株を買う、で止めない

近所の店に行列があると、会社も儲かっているように見えます。けれども、その店が上場会社の直営なのか、加盟店なのか、そもそも別の会社のブランドなのかで、利益が帰属する先は違います。一店舗の観察は会社全体の数字でもありません。

ピーター・リンチは1977年から1990年にフィデリティ・マゼラン・ファンドを運用した人物です。フィデリティの紹介でも、生活の中の発見と調査の両方に触れています。好きな商品を見つけた時点で企業調査が済んだ、と読むのは早計です。

店の数が増えて売上が増えた独自例

架空の飲食企業で、前年は10店舗の売上が合計1億円、今年は15店舗で1億4,000万円になったとします。両年とも、対象の全店舗が一年を通して営業し、売上の集計範囲も同じと仮定します。総売上は40%増えていますが、一店舗当たりの単純平均は1,000万円から約933万円へ下がっています。

ここから直ちに「既存店が不振」とは言えません。今年の平均には、新しく加わった店も入るからです。前年から営業する店に対象をそろえた既存店売上とは異なります。新店の規模や立地も不明なので、平均の低下だけで原因を決めることはできません。

売上、利益、現金で分かることが違う

例の企業を調べるなら、総売上の成長に加え、既存店売上、客数と客単価、新店の採算などが候補になります。値上げで売上が伸びたのか、来店回数が増えたのかでも継続性の読み方は変わります。開示されていない数字を、店頭の印象から埋めることはできません。

また、原材料や人件費、家賃が増えれば、売上が増えても利益が減る場合があります。出店の内装費などを先に支払うなら、利益とは別に現金の負担も生じます。成長の説明を読む際は、どれほど増店したかだけでなく、そのために何を負担したかも合わせて読む必要があります。

失敗を取り戻す追加購入にも根拠が要る

店の人気を根拠に買った後で値下がりしても、「リンチなら身近な会社を信じるはず」と購入額を増やす理由にはできません。当初の観察と開示資料が食い違っていないか、事業や価格の評価をどこで誤ったかを先に点検することになります。

会社の理解が深まっても、その株が現在価格で有利な投資になるとは限りません。逆に、日常で知らない業種だから悪い企業とも決まりません。身近さを調査の入口にとどめ、集計範囲、費用、資金負担へ進めるかが、この考え方を使う際の分かれ目です。

出典