買値に引きずられる場面
株価が買値を下回ると「元の価格まで戻ったら売ろう」、上回ると「買値から十分に上がったから売ろう」と考えがちです。しかし、買値は過去に自分が支払った価格であり、企業の将来利益や現在の適正価格を示すものではありません。買値に合わせて売買を決めると、投資理由の変化や資金を別に使う選択肢を見落とすことがあります。
たとえば、購入後に会社の主力事業の見通しが悪化したなら、買値に戻るまで保有する理由があるかを改めて考えます。一方、短期的に株価が下がっても事業前提が変わらない場合は、価格変動だけで方針を変える必要はないかもしれません。どちらの場合も、判断の基準は買値そのものではありません。
現在の選択肢を比べる
保有継続、売却、追加購入のそれぞれについて、今の情報で選ぶ理由を書き出します。買値以外に、投資理由、保有期間、家計の資金需要、資産全体の偏りを確認します。含み益や含み損を無視するという意味ではなく、損益が税金や資金計画に与える影響は別途考慮します。
「買値を忘れる」は損切りを急がせる合図ではなく、過去の選択を正当化せずに現在の情報で判断するための表現です。