債券の利息は途中で変わらない
固定金利債券は、発行時に決められた利息を支払います。市場金利が上がっても、すでに発行された債券の利息が自動で増えるわけではありません。ここが価格変化の出発点です。
たとえば、信用力と満期が同程度の2本を比べます。
| 古い債券 | 新しい債券 | |
|---|---|---|
| 額面 | 100万円 | 100万円 |
| 年間利息 | 1万円 | 3万円 |
| 発行時の金利 | 1% | 3% |
同じ100万円なら、新しい債券を選びたくなります。古い債券を途中で売るには、買い手が「値下がりした価格なら年1万円でもよい」と思える水準まで市場価格を下げる必要があります。つまり、利息が固定されている代わりに価格が動き、買い手から見た利回りが現在の市場へ近づきます。
金利が下がった場合は逆です。高い利息を固定した古い債券の魅力が増し、市場価格は上がりやすくなります。
満期が長いほど価格が大きく動きやすい
低い利息をあと1年受け取る債券と、あと20年受け取る債券では、後者のほうが新しい金利との差を長く抱えます。そのため、ほかの条件が同じなら、残存期間の長い債券ほど金利変化に敏感です。
この感応度をまとめた指標がデュレーションです。デュレーションが10なら、金利が1ポイント上昇したとき、債券価格はおおむね10%下がるという目安になります。ただしこれは小幅な金利変化を前提とした近似で、実際の値動きと一致する保証はありません。
個別債券と債券ファンドは同じではない
個別債券は、発行体が債務不履行にならず、途中償還などがなければ、満期に額面で償還されるのが基本です。途中売却しなければ、日々の市場価格を意識しない選択もできます。
債券ファンドや債券ETFには一つの満期がなく、保有債券を入れ替えます。「満期まで待てば自分の投資元本が額面で戻る」という構造ではありません。金利リスクのほか、信用、為替、インフレ、流動性、繰上償還のリスクもあります。
実際に確認する数字
- 表面利率:額面に対して支払われる利息
- 最終利回り:市場価格で買い、満期まで持つ前提の収益率
- 残存期間:元本償還までの期間
- デュレーション:金利変化に対する価格感応度の目安
- 信用格付け・発行体:利息や元本を支払えるか
利回りだけが高い債券は、金利リスクではなく信用リスクを多く抱えている場合もあります。「債券だから安全」ではなく、どのリスクの対価として利回りが高いかを確認します。
まとめ
金利と固定金利債券の価格が逆に動く本質は、古い債券と新しい債券の条件比較です。市場金利が上がれば、低い利息の古い債券は価格を下げて利回りを調整します。値動きの大きさを見るなら、満期だけでなくデュレーションも確認しましょう。