ゴードン・モデル 理論株価 = D₁ ÷(r − g) D₁ 来期の1株配当 r 期待収益率 g 配当成長率 成立条件:期待収益率 r > 配当成長率 g

ゴードン・モデルの仕組み

ゴードン・モデル(定率成長配当割引モデル)は、企業が将来も配当を払い、その配当が毎年同じ割合で増えると仮定する評価方法です。式は次の通りです。

理論株価 = D₁ ÷(r − g)
記号意味
D₁来期に予想される1株当たり配当
r投資家が求める期待収益率
g配当の年間成長率

現在の配当をD₀とする場合、来期配当は D₁ = D₀ ×(1+g) です。現在の配当をそのままD₁に入れる取り違えは、計算結果をずらします。

来期配当100円なら理論株価は2,000円

来期の1株配当を100円、期待収益率を8%、配当成長率を3%と仮定します。

100円 ÷(0.08 − 0.03)= 2,000円

この前提での理論株価は2,000円です。市場価格が2,000円と違っていても、すぐに割安・割高とは決められません。市場は減配リスク、業績、財務、金利など、式に直接入っていない材料も織り込むためです。

成長率を1ポイント変えるだけで結果が動く

D₁を100円、rを8%に固定し、gだけを変えます。

配当成長率g理論株価
2%約1,667円
3%2,000円
4%2,500円

成長率を2%から4%へ変えただけで、理論株価は約833円上がります。分母の r − g が小さくなるほど計算値が急に膨らむためです。楽観的な成長率を置けば、欲しい結論を作れてしまいます。

使いやすい企業と使いにくい企業

安定した利益と配当実績があり、成熟した事業を持つ企業では、前提を置きやすいモデルです。式が単純なので、複数のシナリオを比較するのにも向きます。

反対に、無配企業、配当が不安定な企業、急成長企業、赤字企業には使いにくい方法です。大幅な増配が永遠に続くとは考えにくく、景気や業績で減配する企業を一定成長で評価すると、見かけだけ精密な数字になります。

また、式が意味のある正の値を示すには r > g が必要です。r = g ならゼロで割ることになり、r < g では有限の正の理論価格を計算できません。

実際の銘柄分析での使い方

一つの予想値だけを入れるのではなく、弱気・標準・強気の3通りで計算すると、前提への依存度が見えます。配当成長率は過去の増配率だけで決めず、利益成長、配当性向、キャッシュ・フローから継続できるかを確認します。

期待収益率も都合よく下げないことです。ゴードン・モデルは売買の答えを出す装置ではなく、「その理論株価は、どれほど強い配当成長を前提にしているか」を逆に点検する道具として使うと実務的です。

まとめ

ゴードン・モデルは、来期配当を 期待収益率 − 配当成長率 で割り、理論株価を求める方法です。配当が安定した成熟企業を比べる入口としては扱いやすいものの、結果はrとgの設定に強く左右されます。

計算値を見るときは、式より前提を読む。配当が続く根拠、成長率の持続性、減配余力を確認し、複数の条件で出した価格帯として扱うことが大切です。

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