FIREの核心は「退職」より選択肢 働き続けるしかないという不安 資産・低い支出・柔軟な仕事 働き方を選べるという自由 kabutrack.com

FIREは「働かない宣言」ではない

FIREはFinancial Independence, Retire Earlyの略で、資産収入などによって経済的自立を得て、早期退職を目指す考え方です。ただ、支持される理由は退職だけではありません。嫌な仕事を断る、勤務日数を減らす、家族との時間を増やすといった選択権に価値があります。

賃上げが物価に追いつかず、住宅や老後の目標が遠く見えると、会社の中で昇給を待つより、資産をつくって労働への依存を減らす方が合理的に感じられます。努力と豊かさの結びつきを信じにくくなる「経済的虚無主義」が、FIREへの関心を強める一因と考えられます。

「年間支出の25倍」の前提

FIREでは、年間支出の25倍を用意し、毎年4%を取り崩す考え方がよく使われます。年間支出300万円なら7500万円です。ただし、これは便利な概算であり、日本で一生資産が尽きない保証ではありません。

  • 退職直後の相場下落で資産寿命が短くなる
  • 物価上昇で必要な生活費が増える
  • 税、社会保険、運用コストがかかる
  • 医療、介護、住宅修繕などの臨時支出がある
  • 想定より長生きする可能性がある

支出額を低く見積もるほど必要資産は小さく見えます。現在の節約生活を数十年続けられるかも別の問題です。

一発逆転を狙うとFIREから遠ざかる

早く会社を辞めたいという焦りから、レバレッジや集中投資で高い収益を狙うと、大きな損失で計画が後退する場合があります。FIREの時期が近いほど、資産を増やす力だけでなく、下落時に生活費を確保する力が重要です。

投資には元本割れがあります。過去の平均リターンを毎年同じように得られるわけでもありません。生活費、現金の備え、年金見込み、運用資産を分けて確認する必要があります。

「辞める」以外の自立もある

完全な早期退職だけが経済的自立ではありません。支出の一部を資産収入で補い勤務を減らす、転職できるだけの予備資金を持つ、副業で収入源を増やす、といった段階もあります。

働く意味は収入だけではなく、技能、人とのつながり、生活のリズムにもあります。反対に、仕事が心身を壊すなら、退職時期より安全の確保が優先です。FIREを達成か失敗かの二択にせず、選択肢を増やす過程として見る方が現実的です。

まとめ

FIREへの憧れの強まりは、若者の怠惰ではなく、働いても安心が遠いという感覚と、自分の時間を選びたい願いから説明できます。ただし、25倍ルールは出発点にすぎません。完全退職を急ぐより、家計の耐久力と働き方の自由を少しずつ増やすことが、FIREの本来の目的に近い考え方です。

出典

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