まず結論
マネロンは、単に現金を隠す行為だけではありません。犯罪などで得た資金を別の口座や取引へ移したり、正当な売上・収入のように見せたりして、資金の流れを追いにくくする行為です。
株式、投資信託、暗号資産、決済サービスなどの金融サービスが悪用される場合もあります。投資そのものがマネロンになるわけではありませんが、自分の口座や名義を他人に使わせると、知らないうちに資金移転の経路へ組み込まれるおそれがあります。
仕組み
流れは、次の3段階で考えると理解しやすくなります。
- 犯罪などで資金が生まれる
- 複数の口座、名義、サービス、取引などを経由させ、出所や実際の所有者を分かりにくくする
- 正当な事業収入や資産運用の利益に見せ、通常の経済活動へ戻そうとする
実際の手口は、他人名義の口座、暗号資産、電子マネー、海外口座など多岐にわたります。ここで大切なのは、具体的な抜け道を覚えることではなく、「自分名義の金融サービスを他人の指示で動かさない」と線引きすることです。
投資家に起こりうる接点
たとえばSNSで、「口座に入ったお金を指定先へ送るだけ」「口座を使わせてくれれば報酬を払う」といった募集を見かけても、仕事とは限りません。送金した人が、資金の出所を知らなかったとしても、犯罪収益の移転に関与したと疑われる可能性があります。
また、証券口座や暗号資産のウォレットについて、ログイン情報、認証コード、本人確認書類の画像を求められるケースも危険です。投資の利益を受け取るために第三者名義の口座へ送るよう求められる場合も、通常の取引かどうかを立ち止まって考える材料になります。
金融機関から確認を受けたら
口座開設後に、取引目的、職業、住所、資産や収入の状況などを尋ねられることがあります。これはマネロンなどへの対策として行われる確認で、質問を受けたことだけで不正利用を断定された意味ではありません。
一方で、メールや電話を装って暗証情報を盗む詐欺もあります。連絡が本物か迷ったときは、メッセージ内のリンクや番号をそのまま使わず、公式サイトや公式アプリに掲載された窓口から確認します。金融機関を名乗る相手へ、パスワードやワンタイムパスワードを伝えない線引きも必要です。
2026年の制度変更と身近な注意点
2026年7月10日、犯罪収益移転防止法の改正のうち、預貯金通帳の不正譲渡などへの罰則引上げと、報酬を受けて他人の依頼で送金する行為などを対象とする「送金犯罪」に関する規定が施行されました。名義や口座を提供して報酬を得る行為を、「簡単な副業」と軽く扱わないための制度面の変化です。
正当な理由のある家族間の送金や業務上の支払いまで一律に違法になる、という意味ではありません。具体的な法的評価は、送金の目的や相手、報酬の有無などの事情で変わります。迷う取引は実行せず、金融機関や警察などの公的な相談窓口へ確認するのが安全です。
マネロンと投資詐欺の違い
投資詐欺は、偽の投資話などで相手からお金をだまし取る犯罪です。マネロンは、そのようにして得た資金を含む犯罪収益の出所や所有者を隠し、移動させる行為を指します。ひとつの事件で、詐欺とマネロンが続けて起きることもありますが、同じ言葉ではありません。
「自分は投資をしているだけだから関係ない」と切り離さず、勧誘相手、入金先、出金先、口座名義が自然につながっているかを確認します。高い報酬や緊急性を理由に、確認を省かせる話は特に慎重に扱います。
まとめ
マネロンは、犯罪収益の出所や所有者を隠し、金融や商取引に紛れ込ませる行為です。投資家ができる対策は、口座・名義・本人確認情報を貸さないこと、報酬付きの送金を請け負わないこと、公式窓口で相手と取引の正当性を確かめることです。
金融機関からの追加確認には落ち着いて対応し、不審な依頼には応じない。この二つを分けて考えると、正規の確認と危険な勧誘を見分けやすくなります。
出典
制度・制度変更に関する記述は、2026年8月30日に確認しました。